春の目覚まし鳥
キジ

正面から見るキジは、なかなか凛々しい

頭周りの大きな特徴

頭周りの大きな特徴

ケーン・ケーン!

ケーン・ケーン!

このところ、私の目覚ましは裏で鳴くキジのけたたましい声である。鳴き始め
る時刻は大概6時前後。あたりが明るくなった頃である。最近、枕元の目覚ま
し時計の調子が悪く、時々アラームが鳴らなかったりするのだが、キジの目覚
ましのお陰で遅刻を免れている。

繁殖期を迎え、鳥たちの囀りも一段と賑やかになった。裏のキジは、このあた
り一帯にテリトリを張っているらしく、毎日ほぼ同じ場所でケーン・ケーンと
やっている。この鳴き声に続き、ブルブルブルという大きな羽音が聞こえる。
この一連のサイクルはおよそ5分ごとに繰り返されるが、耳を澄ますと、遠く
で別のキジが同じように鳴いているのが聞こえる。縄張りを宣言しあっている
のだろう。

妻の観察によれば、朝早くから鳴き出したキジは、家族が出払ってベランダに
洗濯物を干す時間になっても、同じ場所で同じ行動を続けているのだという。
出勤前の慌ただしい時間の合間を縫って、撮影して下さいとばかりに全身をあ
らわにしているキジを撮ってやった。二階の子供部屋からスコープで撮影する
のだが、あまりに近すぎて絵にならない。図鑑と同じのキジの写真では詰まら
ないし、ここは真正面からのクローズアップを頂こう。

「ケーン・ケーン…ブルブルブル」の秘密もしっかり観察した。鳴く寸前、キ
ジはせわしなく首を動かし、ぐぐっと伸ばしたかと思うと、「ケーン・ケーン」
とやる。すぐに翼を小刻みに震わせて「ブルブルブル」と音を出す。後半の音
は、おそらく威嚇の意味を持つのではないだろうか。「ここに近づくんじゃね
えぞ!」と、凄んでみせているのかも知れない。

晴れてカップルとなり、毎朝のキジの声が聞こえなくなるまでには、目覚まし
時計をなんとかしなければならない。
【撮影データ】 08/Apr/99,DSC-V100(+Field Scope III)