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渡去前の鷲


オジロワシ(タカ目タカ科)
1月の訪問時にはデジスコ用に持って行ったミラーレスのバッテリが空っぽで、
遠くのワシを300ミリで小さく記念撮影しただけだった。2月も半ばに差し
掛かり、いよいよワシたちも帰り支度を始める頃だ。帰ってしまう前に、もう
一度会いに出かけた。


最初にオオワシのポイントをチェック。観察者は私一人。肉眼でチラっと見え
る山中の枝に止まったオオワシを、なんとか枝被り無しに見通せるスポットを
見つけて三脚を据える。オオワシをスコープに入れ、カメラを接眼レンズにセ
ットして4K動画で撮影。陽炎が上がって解像度は悪い。

その動画から切り出したスチルを3枚ほど。
図鑑ポージング
パタパタ
ケーケーケーと時々鳴く


次にオジロワシのポイントに移動。相変わらず対岸300m先のオジロワシだ
が、デジスコならこんな感じ。こちらでは陽炎の代わりに小雨模様で解像が悪い。

一度飛び出した後、すぐに同じ枝に戻った。
この後、長い時間止まったまま動きがなく、デジスコ4K動画で記録しておく。

岡山から撮影に来られていた二人連れのカメラマンと会話しながら、オジロワ
シが動くのを待つ。動画からの切り出し2枚。
図鑑ポージング
糞を放出し、さて飛ぶかと思いきや、それからが長かった。

ジョウビタキ♀が出てきた。ミコアイサが少し近くまで泳いできた。
眼の前に浮上したカワウは、大きなフナを丸呑みにした。

前触れもなく、突然オジロワシが飛び出した。大きなストロークを数回し、ほ
とんど滑空の水平飛行で池の奥方向へ飛ぶ。水辺の林に遮られてオジロワシの
動きがよ見えない。カモの声が上がる。水音が一度がした。そのまま低空飛行
で戻ってきたオジロワシが何かを掴んでいるのがファインダー越しに確認でき
た。おそらく大きなフナだろうと思った。後で写真をレビューして、この時狩
った獲物がマガモであることが分かり、一連の狩の様子を写真から追うことが
できた。

水音がしたときのカットには逆さに落水するマガモが写っていた。おそらく最
初の一撃で、慢心のマガモの首がへし折られたのだろう。攻撃を加えたマガモ
をそのまま捕まえるのではなく、オジロワシは一旦離れてからUターンし、即
死で絶命したマガモを鷲掴みで拾い上げた。

マガモをぶら下げて水面ギリギリを飛ぶ。横取りを狙ったカラスが追いかけるカラスがオジロワシに近づき、仲間も2羽、3羽と加わった。
カラスが追いかけるオジロワシが逃げる。やがて意外な行動に展開する。
オジロワシが掴んだマガモを池に落としたのだ。枝に戻ったオジロワシ。
この後なにが起こったのか、落とした獲物がマガモであることが現場で分かっ
ていれば、その顛末まで確かめただろう。てっきりフナだと思いこんでいた私
は、この段階で現場を引き上げてしまったのだった。

オジロワシはおそらくわざと獲物を落水させたのだろうと思った。水上に浮か
ぶ不安定な死体にカラスが付かないことを想定したのかもしれない。タイミン
グをはかって、オジロワシは落としたマガモを回収に行ったのではないか。
そんな風に考えた。魚食で越冬生活していたオジロワシが、渡去の長旅に備え
て栄養豊富なカモを狙ったことは想像に難くない。オオタカはカモをよく狙う
名ハンターだが、のったりしたイメージのオジロワシも、やはり優秀なハンタ
ーであることを認識した。また来シーズンも、ここで会おう。

近くの海岸に出るとクロサギシノリガモ若♂がいた。この海岸でシノリガモ
は3羽見られていて、成鳥♂と成鳥♀は今回はいなかった。
飛んだ波に揺られる。

豊岡に戻って夕刻の巡回。コハクチョウとマガンは一緒に湛水田にいた。
2羽のマガンコハクチョウの動きが慌ただしくなり、鳴き交わしが高まると滑走が始まる重い体が揚力で持ち上がり、旋回しながら編隊を整えてねぐらへ戻って行った。

【撮影データ】12/Feb/19 Nikon1J5+TSN660、D500+300mmF2.8