いつものポイントに着いて、畦道をゆっくり動き出した途端、フロントガラス 越しに大きな鳥が目に入った。まさか!? と思ったその鳥は、双眼鏡を当て るまでもなくマナヅルだった。今年の春渡りの季節、新温泉町の海沿いの田ん ぼでマナヅルが目撃された。前年だったか前々年だったか、豊岡盆地内でもマ ナヅルの目撃があった。 ほとんどのマナヅルは朝鮮半島を経由するルートで渡りを行う。日本での主な 越冬地は鹿児島県の出水市。数年前の視察研修で出水平野のマナヅルの様子を 観察してきたが、ナベヅルとマナヅルのものすごい数の集団に圧倒された。 ナベヅルは過去に豊岡市内でも何度か観察したことがあるが、マナヅルはこの あたりでは私は初めて見る。直近での目撃例が増えているのは、マナヅルの渡 りルートの変化と見るのか、今後とも注目してみたい。 今回出会ったマナヅルは成鳥の単独個体。集落に隣接する二番穂の田んぼで採 餌を続けている。ダイサギと比べると大きさが推測できる。コウノトリより一 回り大きな鳥で存在感がある。 農道をトラクターが大きな音で通り過ぎ、マナヅルが飛び立った。 紅葉の山を背景に飛ぶマナヅルのシルバーグレイが美しい。 田んぼを周回して飛んだあと、また同じエリアに下りた。羽の手入れをし、 ときおり首を伸ばしてあたりを警戒しながらも、落ち着いた様子で行動を続け ていた。さて、いつまでいるだろうか? 少し離れた田んぼではコウノトリがいた。5羽の集団で餌を探している。 人工巣塔に親子で止まっているファミリーを見た。 コウノトリが棲み、ツルが飛んでくる。大型の水鳥を惹きつける自然環境は、 しかし、人々の営みの中で作られてきたものだ。人と自然が折り合って暮らし ている光景は素敵だと思う。 【撮影データ】25/Nov/18 D500+300mmF2.8 |