林道沿いのカラマツにアオバトが止まっていた。ブナ帯に入るが、ガスに巻かれ た森はエゾゼミも声を潜めて怖いくらい静かである。 ゆっくり車を転がしていたとき、右の路側から存在感のある鳥が飛び立つのが見 えた。倒木の上に一瞬止まったその鳥を、次の瞬間には識別していた。光が足り ない上、カメラの設定が普段の応戦モードにはなっておらず、飛び去るまでの僅 かな間に、2回シャッターを切ったうちの1枚がトップ写真である。 ヤイロチョウの英名は"Fairy pitta"である。pittaはヤイロチョウの仲間の総称 で、日本で繁殖するヤイロチョウは「妖精」の名を貰っているのだ。暗い林床に 人知れず潜む鮮やかなカラーリングのこの鳥は、まさに妖精の名に相応しい。 「ホホヘン・ホホヘン」と近くで二度鳴いたきり、森の奥へと姿を隠してしまっ た。 林道をさらに進むと、シカの家族連れと出会った。林道を横断して、斜面に立ち 止まってこちらを見るシカ。キツネも見かけた。ウワミズザクラの実が目立つよ うになってきた。 一旦山を下りて、別の観察ポイントへと向かう。毎年この時期に確認しているチ ェックポイントに、相当数のクロシジミを見ることができた。開翅したところ。 生息環境。大事にしたい生息地である。 【撮影データ】19/Jul/16 D500+VR300F2.8,SP90mm, SIGMA10mmFE |