福知山・綾部エリアの鳥好き仲間で作る「FAヤマセミの会」の友人から、福知 山市街地の街路樹でコロニーを形成するササゴイの情報をもらっていた。興味深 い事例なので、いつか観察しようと思っていたのを実行した。 6月26日に初めて現場を訪れたときには、ササゴイの巣立ちビナが街路樹にあ る巣から出て、隣接する民家の瓦屋根に止まっていた。ほどなくその屋根をかす めて親鳥が巣に戻って来て、街路樹に掛かる電線に止まった。ヒナに給餌したの だろうか下で待つヒナと毛を逆立てる親の姿が写った。 8日後に再訪。街路樹のコロニーは鳥の気配が薄く、近くに親鳥も幼鳥も姿が見 えない。近くの川での採餌行動を観察することにした。由良川支流の河口近く、 コンクリート護岸に最初のササゴイを見つけた。警戒心が強い。すぐに飛んで、 橋の欄干に退避した。その後も、ササゴイとの距離感がつかめずに、流域で見つ けては飛ばれることを繰り返す。 この採餌場所から営巣場所までの距離は直線で300mほどである。望遠レンズ で覗くと、コロニーの街路樹が見通せる。いくつかの採餌ポイントをチェックで きたが、今回、一番遠いポイントでもコロニーから700mほどの位置であった。 日没まで、この川でのササゴイの採餌行動をチェックしながら、たくさんの写真 を撮影した。その中から以下にピックアップする。 翼上部が茶色いっぽい個体 同個体の飛び出し 翼を広げたところ 線路を越えてコロニーに戻ってゆく 巣立った幼鳥が採餌していた 餌には大きすぎる魚が接近 川面をずっと見つめ続ける 餌を見つけて首を伸ばす 水面に浮かんだノイバラの花びらをくわえて投げ、ルアーまがいの漁を見せた 2羽の成鳥が漁場をめぐって小競り合い 堰堤を上流に向かって飛ぶ 落ち込みのコーナーで餌を待つ 激しい雷雨が襲来 増水中の堰堤上に降りる 水中にダイブするシーンも見た 雷雨が去って水が濁る 日没近く、辛抱強く魚を待つ ようやく、カワムツらしき一匹を捕まえた 街の明かりが灯り始め、落ち込みで採餌を続ける1羽の上に別の1羽が止まって から、下流に漁に出て行った。カワムツを食べた後もササゴイは同じ場所で辛抱 強く漁を続けていた。 日が暮れてコロニーに戻ると、電線に成鳥1羽が止まっていた。ときどきケヤキの 中から鳥の声がする以外は、騒々しい様子は無かった。夜のコロニーはこんな感じ。 信号交差点は交通量が多く、一角にコンビニストアがある。このような場所をあ えて選んで営巣する理由があるのだろう。ツバメの営巣と同じ事情なのかもしれ ない。 FAヤマセミの会では、このコロニーを守るために行政や地域住民にに働きかけ を行い、従来行われてきた剪定時期を営巣終了後にずらしたり、舗道に落ちた糞 の清掃作業などの活動を続けられている。やさしい人たちに見守られて、この場 所のササゴイは来年もここで子育てをしてくれるだろう。 【撮影データ】26/Jun,04/Jul/16 福知山市 D500+VR300F2.8,10-20mm |