世界で生息数が1,500羽ほどと言われている希少種、クロツラヘラサギが円山川 河口の戸島湿地に飛来した。11月19日午前には久美浜湾で確認され、午後に は西に飛んだ様子だった。 初認から3日後の朝、現地へ観察に出向いた。クロツラヘラサギは観察小屋の前 あたりにいて、こちらに歩いて接近してくる。少し飛んだときに、初列風切先端 の黒色が確認できた。若い個体である。 当地でクロツラヘラサギを見るのは、私は初めてである。戸島湿地では、ここ数 年間、毎年春の渡り期にヘラサギ(撮影:2015年3月8日)の飛来観察が続いてい る。同じヘラサギでも、名前の通り、クロツラヘラサギは目と嘴の間が黒い。 農道境界の水路まで近付いたクロツラヘラサギは、ダイサギと一緒に採餌行動を 続けた。ダイサギの目視による一発必中採餌に対し、クロツラヘラサギは水中に 嘴を入れたまま、左右に振りながら触覚に頼る採餌を行う。これはコウノトリと 共通する採餌方式である。 狙っている獲物は、ダイサギもクロツラヘラサギも同じ、小型の淡水エビである。 ダイサギのエビ捕食シーン クロツラヘラサギのエビ捕食シーン どうやら、クロツラヘラサギが嘴でかき回して逃げ惑うエビを、ダイサギが上か らシュッと捕まえるといった感じである。 以下、いくつかのクロツラヘラサギの観察カット。 大きなヘラ状の嘴 口の中はこんな感じ。コウノトリと同じく、舌は短い 水切り。初列風切の黒が少し見える 前頭が僅かに黄色い。冠羽は未発達 嘴の下面は赤い 正面顔は目玉が出た感じ 図鑑カット ※後日談:11月26日午後の確認を最後に、翌27日より不明。 おそらく西に移動したものと思われる。 楽々浦湾の様子をチェック。いつもの対岸にオシドリが見えた。その他のカモは 普通種のみ。 盆地に戻る。赤石堪水田でクサシギ2羽をチェック。 堤外ヨシ原でバンディング中のKさんと情報交換。昨年以上に、今年はカイガラ ムシの付きが悪いそうで、オオジュリンの飛来が少ないそうだ。 ようやく霧が晴れてきた六方田んぼで、コウノトリにレンズを向ける。飛びもの。 気温が高いまま、長い秋が続いている但馬地方である。 【撮影データ】22/Nov/15 豊岡市 D7000+VR300F2.8 |