帰宅途中の六方田んぼ、夕方の斜光に縁取られて、コウノトリの幼鳥が畦で餌を ついばんでいるところに出会った。近くの百合地巣塔から、この8月3日に巣立 ったばかりの幼鳥J0095♀だ。 ベテランの百合地ペアは、夫婦仲があまりよくないらしいが、それでも毎年繁殖 を繰り返してヒナを孵している。しかしながら、ここから巣立ったコウノトリの 寿命が総じて短いのが気がかりである。元々が弱い遺伝子を受け継いでいるのか もしれないが、早い段階で事故起こして亡くなるケースが目立つのである。 J0095は、百合地ペアの第二クラッチの子である。最初の繁殖に失敗した後、二度 目で1羽が生まれ巣立った。巣立ち直前の8月1日、ジャンプを繰り返すJ0095を 観察した。翌日は柳まつりの花火大会で、堤防の上の花火の準備を巣塔の上から 眺めていた。 花火大会の翌日に巣立ったJ0095、この日で25日目を迎えていた。畦を遠ざかり 実った稲の陰に姿を消すところまで見送った。 翌日の午前、J0095が市内の鉄塔の下で死んでいるのが見つかったという、思いが けないニュースが届いた。ほんの半日前に見たばかりの幼いコウノトリの命は、 あっけなく突然に消えてしまったのである。26日間の豊岡の空の思い出を抱い て、今は天空を舞っていることだろう。 【撮影データ】 28/Aug/14 六方田んぼ D7000+VR300F2.8 |