夏鳥の囀りが止み、山はゼフィルスの季節である。出現ポイントが限定されるこ の蝶の撮影は、採集者との戦いでもある。そんなことで、蝶の撮影もあまり気が 乗らない。 ところが、ごく身近の生活圏に、ゼフィルスのポイントがあることを仲間から教 えられた。食樹をマークしてあったポイントだが、見事にそこに居たのである。 採集者に邪魔されることなく、存分にレンズを向けることができた。 山際のハンノキ林にいたのはミドリシジミである。夕方の活動時間になり、葉先 に止まって占有行動を開始する。辛抱よく待っているとようやく開翅。夕方の斜 光を反射したコバルトブルーがとても美しい。 テリ張り中のミドリシジミ♂。同じ個体でも、光りの加減で緑に見えたり、青に 見えたりする。トップ写真は卍飛翔したときの♂1頭のカットであるが、左右の 翅で色が違って見えている。 羽化したてのミドリシジミ♀が地上の葉上に止まっていた。強風に煽られてか、 羽化が不完全な個体だった。弱く飛翔した時に見えた表翅は青く、一緒にいた仲 間から「B型メス」と教えられた。メスの変異に人間の血液型を当てはめて呼ん でいるらしい。 同じ場所で観察した別のゼフィルス2種。ウラクロシジミとアカシジミ。 鹿の食害で食物連鎖が絶たれ、チョウたちのこれからの運命が心配である。 【撮影データ】13/Jun/14 D7000+VR300F2.8 |