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5年ぶりの深紅


イスカ (スズメ目アトリ科)
そろそろシーズンだと思いながら、5年前の飛来ポイントを巡回。1本の松の木
の下に、松ぼっくりがたくさん落ちている。ひょっとして、と期待が高まる。し
ばらくあたりの気配に耳を立てると、遠くでアトリっぽい鳴き声が断続的に聞こ
える。声の方向に注目すると、10数羽の小鳥の群れが飛んで木陰に隠れた。

枝に出てきた1羽をスコープで覗いても、遠すぎて識別できない。やっぱりアト
リかなと思い直し、気配が消えたところで下山を始める。でもやっぱり気になり、
後戻りして待機を続けた。やがて群れがこちらに飛んできて、ミズナラだろうか、
広葉樹に止まったところをチェック。ビンゴ! 目に入った深紅は、間違いなく
イスカだった。5年ぶりの再会。

観察を続けるうちに、イスカが木の穴に固執していることが分かった。穴の深く
まで頭を突っ込んで、しばらく同じ姿勢をキープし、出て行ったあとに別の個体
が同じ行動を示す。カラ類やキツツキ、あるいはリスといった別の動物が貯めて
いた冬越し用の木の実などを穴の中に見つけて、そいつを横取して食べているよ
うに見えた。あるいは、樹洞に潜む虫を見つけたのかもしれない。
別カットのイスカ@樹洞イスカは漢字で「交喙」と書いてイスカと読ませるそうだ。英語ではCrossbill。
和洋問わず、この鳥の最大の特徴である「交差するくちばし」が名前の由来であ
る。頭部を拡大するとイスカのくちばしの特徴がよく分かる。クロスの方向は一
定ではなく、別のイスカでは逆向きにクロスしている。

しばらく樹洞に留まったあと群れで飛び立ち、その後松ぼっくりコナラの冬芽
を食べる様子をチェックし、雪混じりの木枯らしに耐え切れず、山を後にした。

【撮影データ】29/Nov/13 D7000+VR300F2.8