作業を終え、午後の後半に差し掛かった帰り道、住宅地はずれの電線に止まった 一羽のサギに目を上げた。肉眼でゴイサギの子?ササゴイ?などと思い巡らすう ちに、10年前の記憶が蘇ってきた。車を脇道に入れ、急いで飛び出てレンズを 向ける。逆光のサギはすでに飛び出し態勢に入った。 飛んだ瞬間、鮮やかな白い翼が目に入った。間違いなくアカガシラサギだった。 2003年10月に同じエリアで初観察して以来の、10年ぶりの再会である。 直近では2010年10月、円山川河口の戸島湿地での観察記録が残っている。 中国と東南アジアを行き来しているサギで、日本には渡りの迷鳥として稀に飛来 する珍鳥。名前の由来は、夏羽のワインレッドの頭頸部から。この時期に飛来す るのは赤い色の落ちた冬羽個体である。 電線から着地した田んぼ付近を捜索するも、なかなか見つけることが出来なかっ た。用水路をチェックすると、足元からパタパタとアカガシラサギが立った。 他に観察者がいなかったので、珍しいお客様とじっくり向き合うことに決める。 西日の陰になった水路で何やら餌を見つけて食べた。時々短い冠羽を立てる。 下くちばしが黄色、脚は黄緑色で、冬羽成鳥か幼鳥か迷うところだが、おそらく 成鳥だろうと考える。 夕暮れが近づくころ、水路から飛び出した。 アップストローク、ダウンストローク 翌朝、同じエリアを中心にチェックしたが、見つけることはできなかった。 カラスくらいの大きさの小型のサギなので、一旦水路に隠れてしまうと探しだす のは難しい。今回はたまたま電線に止まっているのを目撃して観察が叶ったが、 人知れずひっそりと豊岡盆地を中継しているやつもいるのだろう。冬羽個体の観 察はこれで2度目。次回はぜひ、美しい夏羽のアカガシラサギを見てみたい。 【撮影データ】19/Nov/13 豊岡市 D7000+VR300F2.8 |