普段はあまり入らない谷を歩く。斜面の下からガードレールに飛び上がってきた のはジョウビタキ♂。今期は早くから目にしていたものの、レンズを向けたのは これが初めて。道路を横断して法面の枝に止まったところを図鑑写真。同じ場所 でミヤマホオジロの群れにも出会った。 しばらく歩いたところで、除雪の路肩越しにチリチリという早口の高い声が聞こ えた。下の斜面に目をやれば、小さな鳥がせわしなく木を伝い歩いているところ だった。頭のてっぺんに黄色のマーク。キクイタダキだとすぐに分かった。 キクイタダキは「菊戴き」の名の通り、頭に黄色い菊を戴いている。このあたり では冬鳥して観察されるが、飛来は稀で、年によっても違う。今冬はいろんな場 所でキクイタダキの観察記録が聞かれるので、ひそかに出会いを期待していたと ころだった。 後ろ姿のキクイタダキを見れば、全体的にウグイス色をした鳥であるのがわかる。 最近の新分類になるまで、この鳥はウグイス科に属していた。ひと時もじっとす ることなくチョコマカ走り回り、木の又や窪みで餌となる虫を探す。 体長10cm、体重5gに満たないキクイタダキは我が国で観察される野鳥の中で一番 小さいとされる。飛び出したところ。 現地では気づかず帰宅後の調べで分かったことだが、キクイタダキ♂は頭央線の 後端(矢印)に橙色の部分がチラっと見えるのが特徴。黄色の下に橙色の羽根が 隠れており、その一部が少し見えている。その目で撮影済みのカットをチェック してみるとこれはキクイタダキ♂だと思われる。こちらはキクイタダキ♀だろう。 今回遭遇したキクイタダキは少なくとも3羽は確認した。他のカラ類と混群で目 撃される例が多いが、今回はキクイタダキ単独のグループだった。チリチリ鳴き ながら群れは谷の底に向かって遠ざかり、それっきり戻ってこなかった。 【撮影データ】30/Jan/13 D7000+VR300F2.8 |