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梅雨入りの森


モリアオガエル* (アオガエル科/Forest Green Tree Frog)
6月8日に梅雨入り宣言が出て最初の週末。山中の池でモリアオガエルの産卵
が始まった。モリアオガエルは日本固有種のカエルで、兵庫県RDBではBラ
ンクの希少種。森林性のカエルは普段めったに出会わないが、繁殖期で卵塊が
人目につくこの時期はとりわけ話題になる。

産卵は通常夜間に行われるが、ガスが出て気温が14度くらいに下がったこの
日は、早朝から活発な産卵行動が見られた。この卵塊には3つの繁殖グループ
がそれぞれに産卵行動を続けている。一見葉っぱに見える部分は、複数のカエ
ルの塊りである。

魚眼レンズで別グループ*を撮る。こちらのグループ*は杉の倒木で産卵を始め
たばかり。同じ2組をカメラを換えて撮ってみる。Nikon1V1で魚露目撮影**を
試す。ターゲットとの距離によっては周辺流れが目立つ。杉のグループ**へは
寄れるだけ寄って撮ってみた。このセット、うまく使えば面白い写真が撮れそ
うだ。

仲間が合流して、一緒にカエル遊びに興じる。複数のオスに迫られて細枝を動
き回っているうちに枝から落ちそうになるメスこちらも同じ状況。池の中で
は落ちてくるメスを待ち受けるオスが集まってくる。面白ポーズのオス。細い
蔓でも指でちゃんと掴んでいる様子が分かる。池の中で最初のオスが背中に取
り付き、産卵のために上陸して枝を登る。すかさず別のオスが後を追ってゆく大きな木を次々に登ってゆくオス*。3〜4mほどの高さの枝先に卵塊がぶら下
がっているのもあれば、場所の判断を誤ったのか、重みで枝が垂れて水につか
えてしまった卵塊があった。アカハライモリの格好の餌になっていた。

「カエルの合唱」はモリアオガエルでも例外なく起こる。断続的に池全体がモ
リアオガエルの声に包まれる。シュレーゲルアオガエルやアカガエルの声も混
じっているように思った。

※モリアオガエルの合唱 (FlashPlayerなしバージョン

池から上陸して倒木を伝い始めたペアに、魚眼レンズで思いっきり迫ってみる。
メスの腹は水でパンパンに膨れ上がって*いる。池の中でのペアリングの最中、
メスは総排泄孔から水を体内に吸い込むのだそうだ。溜めた水は産卵時に尿や
粘液として排出され、足でこねることによってメレンゲ状の卵塊が出来上がる。
卵はこの泡の中に産み付けられ、オタマジャクシとなって池に落下するまでの
間保護されるのだ。

先ほどのペアは枝を伝って先端へと移動し、前のグループが残した卵塊*の上
まで来て落ち着いた。どうも産みたくなる場所というのがあるようだ。
午後になっても梅雨空のガスは晴れず、いよいよカエル遊びにも飽きて、鳥に
レンズを向けることなく別ルートで下山した。

【撮影データ】 10/Jun/12 D90+VR300F2.8,*SIGMA10mmFE
             **Nikon1V1+DX35mmF1.8+Gyoro8