5月21日は金環日食の日。ちょうどその時刻に林道に入った。いつもの朝と は違う弱い陽光が不安感をあおる。木漏れ日は細長い線状。ポイントに到着し てもしばらくは心細い明るさが続いた、やがて光が戻り、森も活気付く。 クロツグミが近くの梢に姿を現し、美しい囀りを聞かせてくれる。林の中を飛 び回っているのはサンコウチョウ。繁殖をめぐる小競り合いを繰り広げている ようだった。ゴジュウカラがブナの幹を走り、コサメビタキがひょっこり顔を 出した。 最初に見つけた鳥仲間からの情報でチェックに入ったのだが、まったく気配が ないまま時間が過ぎて行った。待つこと3時間。いよいよ諦めかけたとき、本 命が現れた。このポイントは毎年チェックを入れる場所で、いつか斜面の立ち 枯れに営巣するだろうと期待していた。 アカショウビンのペアは唐突に飛来した。こちらからの距離は40mはあるだ ろう。撮影モードをNikon1のデジスコに切り替える。枝が絡まるややこしい場 所でアカショウビン。この止まり木から数メートル下方にあるトチノキの幹に 開いたキツツキの穴に入ってゆく。 キツツキの古い巣穴をリフォームして、アカショウビンは自分たちの巣として 使うのだ。工事中の動きが穴の入口から時折見え隠れする。出てきたところ。 オスとメスは交互に巣穴に入って工事を続けた。止まり木で待機している個体 をデジスコで撮っておく。光が透けた赤いくちばしが魅力的。別カット。 1時間ほどで作業を中断し、2羽並んで休んだ後、飛び去って行った。その後、 2時間ほど待ってみたが、戻ってくる様子はなかった。この場所で営巣するの か、別の場所にも巣穴を掘っているのか、しばらく継続調査をしてみないと分 らない。 【撮影データ】 21/May/12 D90+VR300F2.8,,Nikon1V1+10-30mm+TSN-824M |