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30年ぶりの珍蜘蛛

ニシキオニグモ
ニシキオニグモ(コガネグモ科)
仲間のY氏が山中で怪しげなオニグモを見つけた。クモ山人氏の標本同定によ
りニシキオニグモと確定された。兵庫県初記録とのことだったが、実はクモ山
人氏自身が30年前に同じ山域で捕獲し正式記録として残っている。同級生の
友人であるクモ山人氏のボケ加減に、同じペースで加齢してゆく私も少し安心
した。

Y氏に案内され山中の現場へ。なるほど、これがニシキオニグモかと見上げる。
びっくりするほど綺麗なクモではないけど、「和風」な色合いがなかなかよい。
地上から2.5mあたりに網を張っているので、撮影にはちょいとした準備が
必用だった。二人で臨むといろいろアイデアが出てくるものだ。

ちょうどツノアオカメムシを捕食中だったが、このカメムシは前夜から抱えて
いるとY氏。90ミリマクロで臨むも、シャッター速度が上がらず。止む終え
ずISO800で撮影。不安定な手持ち撮影ではそれでもブレるので、ストロ
ボ撮影したのがこれ。図鑑としては使えるけど、写真としては面白くない。
ストロボワークが今後の課題である。

すぐ近くの別個体に向かう。葉裏にじっと潜んで動かない。餌をどのように捕
まえるのか観察したくて、落ち葉に隠れている小さなコオロギを捕まえてニシ
キオニグモの網に載せてやった。さすがに初めは警戒していたが、ちょっと目
を離した隙に獲物は糸で絡められ、すぐに葉裏の常駐場所へと引かれて行った。
このときに写っている腹部の赤い色が、ニシキオニグモの最大の識別ポイント
だそうな。

同じことを隣りのジョロウグモでやってみた。未成熟のメスであるが、牙でガッ
プリ獲物を噛んだまま大きな動きをしなかった。まずは相手の動きを止めてか
らという作戦のようだ。大きな円網の真ん中で待ち構え、餌をその場で捕食す
るほかのコガネグモ類に比べ、ニシキオニグモの捕食行動はかなりの慎重派と
見た。その密やかな行動様式がゆえに、今まで人目につくことなく存在が見逃
されてきたのかもしれない。

同じエリアにいたイシサワオニグモ。今秋はとくにこの蜘蛛の姿が目立つ。
山中のあちこちで赤い姿を風に揺らせている。

路肩の斜面に見えた赤い実の低木。その赤が日に照るのが美しい。その後の調
べで木の名前はゴンズイ*と分かった。落ち葉の上ではマイマイカブリがガサゴ
ソと這いまわっていた。

【撮影データ】 29/Oct/06 豊岡市 D2X+SP90,*VR300