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春の海を旅する鳥(4)

トウネンとキアシシギの混群
トウネンとキアシシギの混群
トップ写真だが、この海岸でこういうシーンは滅多に見ない。このあたりの海
岸は渡りのシギチが立ち寄りやすい環境ではないようで、箱石を挟んで小天橋
から夕陽が浦にかけての長い砂浜でも、観察できるシギチはまばらである。

ゴールデンウィークの箱石海岸は、ワカメだかアラメだかを採りに来た人たち
で朝から賑わっていた。波の穏やかな休日はサーファが居ない代わりに、海の
幸を求める人がやってくる。人のいる岩場に近づけないキアシシギとトウネン
の渡りの群が、たまたま一緒になってひと気の無い砂浜で餌を漁っているシー
ンに出くわしたようだった。

キアシシギとトウネンはどちらも警戒心の薄いシギ。こちらがじっとしている
と近くまで寄ってくる。砂浜に座って、群がこちらにやってきた時にシャッター
を切る。小走りで通り過ぎるキアシシギトウネンを400ミリで追った。

警戒されると少し飛んで近くの岩場*に退避するが、しばらくするとまた砂浜の
波打ち際を走るということを繰り返している。

人がいないところではシロエリオオハムが海岸近くまで寄ってくる。近寄って
レンズを向けるとすぐに沖に向かって逃げて行くのだが、この時期の波のない
日にはシロエリオオハムの姿が結構浮かんでいて面白い。オオハムかシロエリ
オオハムか、これは捕まえて調べないと分からないほどの僅かな差異しかない。
特に冬羽の場合はお手上げ状態。

今回は夏羽個体が近くで観察できたので、識別ポイントについて少し考察する。
これが夏羽のシロエリオオハム*。冬羽と違い、黒と白のコーディネートがシッ
クで美しい。いろいろ調べた結果、以下の識別ポイントを持ってシロエリオオ
ハムを識別するらしい。

・ボディの喫水線、シロエリは殆ど脇腹の白が見えない
 (オオハムは白が水面より上により多く出ている)
・くちばしはシロエリの方が少し短めで細く見える
・夏羽の喉の黒、シロエリは赤紫の金属光沢
 (オオハムは深緑の金属光沢)

今回は夏羽を見ることが出来たので、特に喉の黒の金属光沢に着目した。ちょ
うど喉をこちらに向けた*カットが撮れた。表示モニタによって喉の黒色は微
妙だと思う。この日撮影した複数の夏羽個体の喉をチェックしてみたが、少な
くとも私のブラウズ環境では赤紫っぽい光沢に感じられた。従って今回はシロ
エリオオハムと同定するわけであるが、おそらくオオハムもここを通過して行
くはずで、今後の識別にはなお難しさが付きまとうことになる。

【撮影データ】箱石海岸 04/May/05 E-1+NikkorED400mmF5.6, *MZ3+TSN-824M