トップ
>
ろっぽうフィールド日記
>このページ
アカショウビン繁殖記2004
アカショウビン (ブッポウソウ目カワセミ科/Ruddy Kingfisher)
5月30日(日)
営巣木発見
・雨雲の垂れ込める山中、朝8時ごろにアカショウビン発見
・すぐに雌雄2羽で巣穴掘りの最中であることが分かる
・止まり木から営巣木の巣穴までの距離は約5m
・交代で穴掘りを行うが、一回の作業時間は数分間と短い
・15時台までの観察の間、ペアは現場を離れることがなかった
T、Y
くちばしや羽根に細かい木屑をつけて下りてくる。くちばし先端も巣穴掘りで汚れている
腰のコバルトブルーはカワセミの仲間の証。アカショウビンの青パンはなかなか見せてくれない
雌雄で並ぶ時間は短く、すぐに片方が巣穴に向かって飛び上がる。巣穴と止まり木の間で、ときどき鳴き合って会話をしている
6月2日(水)
産卵直前?またはすでに抱卵に入った?
9:00 現場着
11:25 やっと、渓の下の方からアカショウビンの声が聞こえてくる
11:43 近くで鳴き始めた、しかし、姿は見えない
11:50 地表近くに姿を現した(腹部の色の濃い方)
11:58 しきりに巣穴を気にしていたが 巣穴に飛び込んだ
時々、声がする
12:05 巣穴から飛び出した 直後、木屑が舞った
・どちらの個体が出て行ったのか解らない
・巣穴から一気に飛び出した後姿を見ただけで確認できなかった
・木屑が飛び散ったのは 巣穴の整備なのか、抱卵の交代なのかわからない
・産座に座っているときに羽に付いた木屑?
・巣穴の整備なら二羽の姿を見ることが出来てもいいはず
・もう、抱卵しているのかも?
・鳴きながらやってきたのは、抱卵交代の鳴き交わし?
Y
この観察以降一ヶ月間、アカショウビンはすっかり成りを潜めてしまう
6月3日以後
抱卵期間
・週末毎に誰彼が現地に向かうも、声も姿も確認できない期間が1ヶ月続いた
・この場所での営巣を放棄してしまったものと、ほとんど諦めの境地になっていった
7月3日(土)
営巣継続確認、ヒナへの給餌確認
9:15 飛来。巣穴入口に止まり、すぐに止まり木に戻る。1分ほどで谷に消える
9:50 飛来。巣穴入口に止まり、すぐに止まり木に戻る。30秒ほどで谷に消える
10:47 飛来。巣穴入口に止まり、すぐに止まり木に戻る。30秒ほどで谷に消える
<この後、カニとカナヘビを1回ずつ運ぶ>
12:30 飛来
12:43 給餌(餌不明)
13:28 カナヘビ給餌
14:58 カエル?給餌
15:32 カマキリ?給餌
15:44 アマガエル?給餌
15:56 サワガニ?給餌
16:30 カナヘビ給餌
16:38 アマガエル?給餌
16:57 アカガエル給餌
T、KF、K
止まり木で一旦休止してから、巣穴に餌を運び込む。戻るときも止まり木で休止する
15:44アマガエルと思われる緑色のカエルを運んできた
16:30カナヘビを運んできたが、こんな大きな餌をヒナは飲み込めるのだろうか
7月4日(日)
給餌中
11:40 現地到着
12:41 カエル
13:05 カエル? カニ? 固そうです。
13:45 カエル
13:54 カナヘビ
14:20 カエル?
14:28 カエル
14:36 トカゲ
15:21 カエル?
15:31 カエル
15:47 カエル?
16:30 撤収
KF
13:05たぶんサワガニの脚がもげたもの
14:36ニホントカゲ
15:21カエル?をくわえて巣穴に向かうところ
7月6日(火)
給餌中
7:29 サワガニ
8:19 カエル
8:42 ?
9:07 カエル
9:08 雛の声する?
9:36 カエル
10:02 カナヘビ?
10:20 ?
10:42 カエル
10:56 カエル
12:50 ニホントカゲ(♀の特大)
14:27 カエル?
15:36 カエル
15:38 イモムシ系
15:59 サワガニ?
16:35 カエル
16:50 カエル
17:11 カエル
K
餌はアカガエルが中心である。お昼前後に給餌インターバルが延びるのは、被捕食者の活動状況とリンクしている?
7月7日(水)
給餌中
6:08 不明(直接巣穴へ)
6:30 カエル
6:41 サワガニ
7:26 サワガニ
8:03 カエル
8:35 カエル
K
巣穴からだと思われるが、ときおり「ゴソゴソ、コツコツ」という音が聞こえてくる
7月11日(日)
巣立ちの促し行動
7:00 観察開始
8:30 餌をくわえて直接巣穴へ、戻りに数秒止まり木
10:51 ♀がアカガエルを給餌
11:09 ♂がサワガニをくわえて巣穴に入り、すぐに餌をくわえたまま止まり木に戻る。
20分そのまま留まり、11:29自分で飲み込んで11:32飛び去る
12:48 かなり下のブナの枝に♀が何もくわえず飛来、しばらく巣穴を見上げてから飛び去る
14:45 ♂がカナヘビ?をくわえて12:48とほぼ同じ枝に飛来。自分でたべてからいつもの枝。
そのまま17:30撤収までそのまま居留
16:32 ♂がサワガニを給餌、↑の♀と一瞬2つ並びでとまり、給餌後すぐに飛び去る
17:30 ♀が止まり木にいる状態で撤収
T、U、KF
10:51アカガエルを運び込むところ
11:09餌を与えずに巣穴から飛び出したところ
止まり木で餌をくわえたまま、巣立ちを促す親鳥
デジスコのテレ端で目一杯寄せて撮影した写真
7月12日(月)
給餌再開
5:02 観察開始
5:15 カニ
5:53 カニ
7:02 雌雄鳴き交わし後カニ
7:53 カニ
8:45 カエル
9:38 イモムシ系
10:49 カエル
11:20 雌雄連続してカエル給餌するが一匹しか食べず親鳥持ち去る
15:00 給餌(不明)親鳥の一羽が巣に15分間滞在、その間営巣木より雛の声らしき声する
16:09 カエル
17:00 観察終了
K、U
前日のような巣立ちの促し行動はなくなった
7月15日(木)
巣立ち完了
・早朝、谷から鳴き交わしの声がしきりに聞こえる
・営巣木への親鳥の飛来はまったく無かった
★早朝4時間の観察より、巣立ちは完了したものと判断
K
7月18日に撮影された営巣木の巣穴入口は逆三角形をしている
考 察
アカショウビンの繁殖に関し、産卵から孵化までは約
21日
、孵化後約
17日
で巣立ちを迎えるとある。
今回の繁殖では巣立ち日は7月13日か14日のいずれかである。仮に7月14日を巣立ち日とした場合、先の数値を当てはめて逆算してみると次のようになる。
巣立ち:7月14日
孵 化:6月27日
産 卵:6月 6日
この予測日付と我々の観察記録を比べてみると、6月2日観察の段階ではまだ産卵は行われていないものと思われる。6月6日に産卵が行われたとして、その後の観察で我々がまったく彼らの存在に気づかなかったほどに、彼らは静かに、目立たぬように、抱卵を続けたことになる。
7月3日に給餌行動を確認した時点で、すでにヒナは孵化後1週間ほど経過していたと考えられ、かなり大きな餌が運び込まれたことも納得できよう。
ヒナに与えられた餌は、アカガエルが殆どで、次いでサワガニ、ときどきトカゲ、カナヘビなども運び込まれた。アカガエルは叩き潰された状態で、サワガニは脚をもいだ状態で、それぞれヒナに与えられたことも興味深い観察結果である。
7月11日の巣立ちの促し行動は興味深かった。餌をくわえたまま、親鳥は近くの枝でヒナをしきりに誘った。この日はヒナへの給餌は殆ど行われず、腹をすかせたヒナが我慢できずに巣穴から飛び出すといったやり方で巣立ちが完了するのだろうと想像した。
この日に巣立ちが行われなかったのは、近くで観察していた我々の存在が邪魔であった可能性も十分考えられる。
巣立ちの終わった営巣木で巣穴の写真が撮影されたが、入口が逆三角形をしていたことは驚きのひとつである。アカショウビンの巣穴入口の形状は丸ではなく四角形であるという話は聞いていた。三角形というものあることを今回知った。
【編集後記】
今回の繁殖記録は地元の鳥仲間の協力があって成されたものです。
観察にあたったMr.Y、KingFisher、かっちゃべえ、うりょの各氏に感謝致します。
来年も、同じ場所で彼らと会えることを願っています。
営巣場所について情報を提供することは一切ありませんので予めご了解願います。