三バカトリオが行く駒倉林道(丹後)
 テレマークスキーのIと、山スキーの私とがつるんで行くコースは、丹後半島 中央部の駒倉林道である。 ************************************************************************* 【日 時】1997年2月2日(日) 【行 程】 「 = 」:車,「 ー 」:スキー  弥栄町 味土野(車デポ)9:40 = 11:50宮津市 上世屋12:04 -  13:35駒倉林道最高地点14:15 - 15:14味土野15:40 = 16:50上世屋(車回収) 【天 候】曇 【地 図】2万5千分の1 日置 【メンバー】I(テレマークスキー),E(ゲレンデスキー),はいかい(スキー) *************************************************************************  朝9時前、約束通りIが私の家にやってくる。そして「Eが来てないか?」と I。なんでも、今日の計画をEに知らせたところ、「ゲレンデスキーで行く」とい う返事が帰ってきたそうだ。Eの家に電話しても誰も出なくて、呼び出し音が空 しく聞こえる。「多分寝ている。電話くらいでは起きない」とI。  しかたない、とりあえずゴール地点である弥栄町の味土野へ、車をデポしに行 く。須川から奥は、道路も雪に覆われている。轍の部分だけ圧雪されているが、 ハンドルをとられながら進む。数世帯が残る味土野集落は、積雪期には住民が離 村するので、道路に除雪が入らないのだ。集落の手前、駒倉林道の起点(終点?) に、4WDの私の車をデポ。Iの車で、出発地点の上世屋に向かう。  途中、Eの家による。E、コタツで寝ていた。早よ、起きれ!なに、寝たのが 5時だと。こっちだって、布団に入ったのは5時だ。3時まで、コタツでうたた 寝していたけど。みんな、生活が不規則。「翌日のために早く寝よう」なんて考え はない。寝覚めの悪いEは、目が開いているのか開いてないのかわからない状態 で着替えている。Iと私は、荷物の積み込み。E、不機嫌。  次にスーパーで食料の買い出し。Eが自動販売機でコーヒーを買おうとしてお 金を入れたが、品物が出てこない。E、ツイてない。  スタート地点に近付き、道はカーブが続く。E、便意をもよおす。  キャンプ場や公園などがある世屋高原家族旅行村の公衆便所を目指す。ここ は、雪遊びの家族連れや、スノーモービルで賑わっている。しかし、公衆便所は 雪に閉ざされていた。E、あきらめる。  若狭湾沿岸の宮津市日置から下世屋を経由して登ってきた府道と、丹後半島縦 貫林道の合流点がスタート地点。標高は約400m。まずは除雪されていない縦貫林 道を鼓ヶ岳方面へ進む。  すぐに緩やかな登りが始まる。滑走面にガムテープを貼っているとは言え、ゲ レンデスキーで歩いているEは最初から苦しそう。テレマークのIはスイスイ。 シールを貼り、ビンディングの踵をフリーにしている私も問題ない。  500m程で、メインの駒倉林道へと枝分かれする。さらに登りが険しくなり、 E、苦戦。ガムテープの張り方をいろいろ工夫している。  雪の重みでうなだれている杉の木を救出しながら、遅れるEを待ち、ゆっくり 進む。そのうち、周囲はブナの林へと姿を変える。ここは、ブナ林鑑賞の遊歩道 でもある。小休止の時、雪を掘ってみたら、その深さは1m以上あった。  丹後半島最高地点の高山を経由して大宮町内山へ抜ける遊歩道の起点までくる と、駒倉林道最高地点。標高約570m。ここで昼食の大休止。  コンロとコッフェルを出し、雪を溶かしてラーメンを作る。名付けて“酸性雪 ラーメン”。  ラーメンをズルズル食べていると、賑やかなエンジン音が辺りをつんざく。ス ノーモービル軍団の来襲だ。6台のスノモが、我々をジロジロ見ながら味土野方 面へと駆け抜けた。「うるさい奴らだ。あんなことをして何が楽しんだ!」とI。 「それが、無茶苦茶面白いんだって」とEと私。Eはバイク乗り。私は、以前、北 海道の雪のサロベツ原野を、海の向こうの利尻富士を見ながら、スノモで走り回 った経験がある。Iと私はカヌー仲間でもあり、いつも「ジェットスキーは嫌だ ね」と言っているので、今回も同意が得られると思ったIは、意外な返答に孤 立。  食後、Eはガムテープを、私はシールを剥して、ワックスを塗って出発。スノ ーモービルが圧雪してくれたので、下りは快適。グイグイ下る。  途中分岐を左に。真っ直ぐ行くと、廃村駒倉。昭和38年の豪雪のあと、丹後半 島の山間部には廃村が増えた。主のいなくなったボロボロの家屋が痛々しい。今 日は廃村までは行かない。  うなだれた竹のトンネルに苦労しながらも順調に下る。スノモが圧雪してくれ ていなかったら、こんなにスイスイとは下れない。  しかし、勾配がなくなり、緩やかに登ったり、水平になったりの区間にやって きた。Iのテレマークが有利。私は踵をフリーにして歩く。E、苦しむ。  なんとか乗りきり、最後の下り。朝デポして置いた私の車が見えてくる。や あ、みんなお疲れ。特に、E、ご苦労。「もう2度とついて来んわ。」  スノーモービルの跡は味土野方面へと続いている。  車に乗り込む前に、コーヒータイム。雪を溶かしてコーヒーを入れる。飲んで いると、味土野からスノモ軍団が戻ってきた。またも、我々をジロジロ見ながら 駒倉林道を上世屋方面に戻って行った。  「我々って、傍から見るとどんなだろう?」「楽しそうじゃないかも。何でこん なことやっているんだろう?普通の若者は、華やかなスキー場に行くのに。」「き っと馬鹿なんだろう。」「そうだ、我々は馬鹿だ!」と、いつもの結論。                   ☆丹後の國☆ CXJ03743 《はいかい》 ↑ページトップへ