3度目の正直!蘇武岳積雪期登頂
 1度目はグズグズしていて到着が遅れ、やる気をなくして自ら撤退。2度目 は、濃霧のため、途中で挫折。  でもそのたびに、なんとしてもやり遂げてやる!という気持ちが膨らみ、気持 ちも天候も万全の状態で3度目の挑戦。年度末の仕事も一段落した平日の、今季 ラストチャンスは大成功\(^O^)/。 ************************************************************************* 【日 時】1997年3月18日(火) 【山 名】蘇武岳[1074m](兵庫県日高町・村岡町) 【行 程】万場スキー場駐車場10:20…(リフト)…11:00スキー場最上部 - 11:35林道      - 13:30蘇武岳山頂14:10 - 15:15奥神鍋スキー場栃の木ゲレンデ -      15:30第1ゲレンデ上部 - 15:45スキー場ベース部 -      16:10万場スキー場駐車場 【天 候】\(^O^)/ 快晴 \(^O^)/ 【地 図】2万5千分の1「栃本」、      昭文社 山と高原地図「氷ノ山 鉢伏・神鍋」 【資 料】白山書房「改訂山スキールート図集2」      山と渓谷社「中高年向きの山100コース 関西編」 【メンバー】はいかい(単独) *************************************************************************  3月16日の日曜日をもって、奥神鍋スキー場が今季の営業を終え、神鍋高原の スキー場で営業しているのは万場高原スキー場だけとなった。春の訪れとともに 雪解けが急速に進み、万場も20日の祝日までの営業だそうだ(つい先日までは23 日の日曜までとの予定だった)。  冬から春へと季節は移り、天気は周期的に変化している。年度末の仕事も一段 落し、晴天の見込まれる18日の火曜日に最後のチャレンジを試みることにした。  10:20万場スキー場駐車場に到着。快晴が嬉しい。リフトでゲレンデ最上部ま であがり、林道を経て蘇武岳へ登頂。下りは名色スキー場または、林道を戻り万 場スキー場か奥神鍋スキー場のゲレンデを滑降する予定である。  並んでいる3つのスキー場のうち、真ん中の万場にクルマがあるので、一番都 合がよい。なんせ、2度目のチャレンジである、15日には、名色から万場まで往 復5kmをスキー靴で歩く羽目になった。  駐車場から見上げると、誰も乗っていないリフトが動いているのがわかる。し かし、かなり上の方にしか雪が見えない。隣の名色はもっと悲惨。反対の隣の、 奥神鍋が最も雪が多いようだ。  駐車場にはクルマが20台弱。明らかにスキー場関係者のものとわかる自動車を のぞくと、なんと9台であった。  リフトを乗り継ぎ登るが、雪がない。上部のユートピアゲレンデに申し訳程度 の雪があり、数人のボーダーがのんびり遊んでいる。  ゲレンデ最上部には誰もいない。リフトの係員の椅子だけが置いてある。準備 をしていたら、私がこれから行く方向から係員が下りてきた。退屈なひなたぼっ こに飽きて、散歩していたようだ。  スキー板を外し、ザックにくくりつけて背負い、スキー靴で歩いてさらに上を 目指す。ブナの林の尾根を歩く。  ブナの枝にスキーがひっかかり歩きにくいが、足下も悪いためスキーを着けて シール歩行よりはましである。雪5cm前後。圧雪の上に、昨日の深雪がうっすら と積もっている。係員の足跡に従って尾根を上に。  30分強で、林道に到着。奥神鍋スキー場のゲレンデはすぐそこ。林道から直接 滑り込める。  林道は先ほどのブナ林と違って日当たりが良いせいか、雪がゆるんで足がズボ ズボ沈んでしまう。スキーにシールを貼って装着して歩く。  林道は、三川山 - 蘇武岳 - 妙見山 と南北に続く但馬中央山脈に沿い、万場 の上では稜線の東側(神鍋高原側)を通っているが、すぐに西側へと移る。する と、遥か彼方に蘇武岳が見え、気が遠くなる。  尾根の西側には鉢伏山、そして氷ノ山が見える。鉢伏のハチ北スキー場の最上 部北壁ゲレンデは昨日の雪のせいか、白がとても鮮やか。その手前のミカタ奥ハ チスキー場は、下半分にまったく雪がない。  それらの奥にどっしりと座る氷ノ山は、まだまだ真っ白である。あの山のどこ かに今なお5人の登山者が眠っている。  林道はアップダウンを繰り返しながら、じわじわと標高を稼ぐ。長い下りで一 度だけシールを剥がして、滑る。でも、次の登りでまた貼る。  林道で、山頂直下までにじり寄り、あとはポコッとした山頂の斜面を直登す る。といっても、急なので斜滑降のちょうど逆に斜めに登っていく。圧雪の表面 の深雪が、表層雪崩のようにずり落ちるので、一歩一歩エッジをしっかり突き立 てなければならない。  山頂の東側にできた雪庇を回り込んで登頂。360°の視界にバンザーイ \(^O^)/。  神鍋高原はもちろん、その向こうには丹後の依遅ヶ尾山、そして丹後海岸の犬 ヶ岬も見える。そういえば、但馬海岸の猫崎も見えているが、この犬と猫には何 か関係があるのだろうか。どちらも近くに竹野という共通の地名があるが…。  豊岡盆地もみえる。たじまもりさんがいたら、いろいろ山の名前も教えてもら えるんだろうけどな。  湯を沸かしながらひとしきり景色を楽しんだら、いつものチキンラーメン。食 べながら顔が熱い。相当日焼けしていると思われる。この日差しだもんなぁ。  さて下山開始、山頂直下の急斜面を斜滑降で横切り、いくつかターンを決め る。標高が高いせいか、日差しの割に雪は軽く、気持ちよくターンが切れる。  あとは林道を戻り、奥神鍋スキー場を下りることにする。  林道は下り基調だが、いくつか登りもあるので、シールを貼ったり剥がしたり を3度くらい繰り返す。  日当たりの良いところでは、うっすらとあったはずの雪が解けてなくなってい たりする。  林道からそのまま奥神鍋に滑り込む。誰もいない最上部の栃の木ゲレンデは新 雪が心地よい。振り返れば、自分のシュプールだけが刻まれている。うーん、独 占じゃ。  途中、リフトを外している作業員さんたちの横を過ぎる。しかし、雪は痩せ細 り、3日前に2度目のチャレンジでここを滑ったときよりも、場所を選んで滑ら ねばならない。  一番下のゲレンデはまったく雪がない。リフトが動いていれば、それに乗って 降りるのだが、今日はスキーをザックにくくり歩いて下りる。  雪の解けたゲレンデには、植物の芽が出かけていた。  スキー場下のバス待合室に荷物やスキーをおろし、空荷で万場の駐車場までの 1.5kmを歩く。  クルマでバス待合室まで戻り、荷物を積み込んでいると、待合室隣の貸しスキ ー兼食堂のおっちゃんが話しかけてきた。        *          *        * おっちゃん「上は雪あった?」 はいかい 「ええ、充分。」 おっちゃん「ワシも、奥神から林道に入って、蘇武を越えて八鹿へ下りたことが       ある。ヒョウノヤマ(氷ノ山)も言ったし、オウギノヤマ(扇ノ山)は、下りる道が      急で大変だった。」 はいかい 「へー、そうですか。」 おっちゃん「第5(栃の木ゲレンデ)は雪つもっとったか。」 はいかい 「ええうっすらと。気持ちよく滑れましたよ。麓もつもりましたか?」 おっちゃん「いや、みぞれが降っただけ。第5の隣の谷に新しいコースができ       る。そこなら5月まで雪がある。」 はいかい 「日当たりの関係ですか?」 おっちゃん「そうそう。」        *          *        *  さて、これで今日は気持ちよく帰れる。これで今シーズンの全日程終了である。                   ☆丹後の國☆ CXJ03743 《はいかい》 ↑ページトップへ