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前回の記録をチェックすると、3年前のちょうど今ごろ扇ノ山を歩いている。 記録のタイトルは「3年ぶりのブナ林、扇ノ山」。身近な山なのでそんなに間 が空いているとは思わなかったが、ともあれ、再び3年ぶりの扇ノ山である。 雨に挟まれた好天の一日の天気予報。上山高原のススキが朝日に白く輝く。い つもの撮影ポイントショウブ池の上部、向こう側に見える紅葉が見頃で美しい。 自宅から車で2時間弱のアプローチは他の山に比べて深い。いつもの小ズッコ 登山口の駐車スペースに他車は無し。準備を整えて一人で歩きだす。林道から 山道に入ればすぐに若いブナ林が迎えてくれる。 小ズッコ小屋から河合谷口からの登山道に合流するまでの間は、笹薮に囲まれ て一人で歩くには心細い。ときどき「ホーイ・ホーイ」とファルセットで大声 を出して存在感をアピールする。合流してからは明るく気持ちのよい道になる。 3年ぶりのかたあしだちょうのエルフ。幼い我が子が名付けた変形ブナの我が 家だけの呼び名。ブナ林の黄葉はちょうど見頃。 朝の斜光がブナの影を長く伸ばし、黄葉のトンネルを抜けて歩くのは実に気持 ちよい。やがて複数の熊鈴の音に追いつき、高齢者の団体をやり過ごす。その 後、何人かの登山者と遭遇するが、熊鈴を鳴らす人の多さを改めて感じる。鈴 を鳴らすことで周りの音をマスクしてしまうことより、聴覚をしっかり緊張さ せながら森は歩くのがよいと私は思う。人がたまに森の中に入らせてもらうと きには、五感で森の住人たちの気配を感じていたい。 小ズッコから大ズッコのピークを越え、コルへの下りから振り返るブナ林はい つもの撮影ポイント。コルから最後の登りに掛かり、鳥取方面の展望台を過ぎ れば標高1310mの扇ノ山山頂。スタートから1時間10分の登りはいつも より早いペース。先月登った氷ノ山を遠望し、オニギリとラーメンの昼食。一 人、二人と山頂に到着する。昨日は紅葉登山大会が行われ大層な賑わいだった ようだ。今日はまったく静かな山頂。 同じ道を折り返す。小ズッコで追い越した高齢者グループと山頂直下ですれ違 った。お遍路のような複数の鈴の音が遠ざかる。再び小ズッコのブナ林に入る。 空を仰いでブナ黄葉を楽しむ。ときおりキョキョキョと群れ飛ぶのはアトリだ ろう。足元の古い倒木にナメコの幼菌が出ていた。 今日は五本立ちのブナの前でコーヒーを沸かした。父の散骨をしてから9年が 経つ。少しセンチメンタルになりながら、最後のブナ林歩きを楽しむ。ブナ林 に囲まれた芦生杉にも挨拶。山頂から1時間30分で車に戻る。登り始めてす ぐ、車のロックをし忘れたかもしれないと思った通り、3時間近くアンロック 状態だった。戻ったときも自分の車だけ。静かで清々しい一人の山歩きを楽し むことができたが、誰かとこの時間をシェアできなかったのも残念だった。 帰宅途中、寄り道して、教えられた鉢伏山の登山道でリンドウ*の花を撮る。 高原のススキが西日を受けて白いベールをまとっているように見えた。 ※D500+SIGMA10-20,*60mmMACRO 【 登山日 】2018年10月22日(月) 【 目的地 】扇ノ山(1310m) 【 山 域 】但馬 【 コース 】小ズッコ登山口よりピストン 【 天 候 】晴 【メンバー】たじまもり単独 【 マップ 】持たず(エアリアマップ「氷ノ山」参照) 【 タイム 】小ズッコ登山口P9:35…扇ノ山ピーク10:45-11:15…P12:45 |