MTBで晩秋の大江山へ
 10月下旬、ホームパーティのメンバーと歩いた大江山。この主峰千丈ヶ嶽にM TBで登り、大江山連峰南部を反時計回りに周回するコースを行くことが、今シー ズンの懸案となっていたが、やっと実行できた。  今日同行のSとも、3年前の秋に大江山を縦走している。あれから、私は真冬 に山スキーで、Sは真夏に大江山登山マラソンで、あのときとは違う大江山を体 験している。そして今日、また違う大江山をMTBを介して味わった。 ************************************************************************ 【日 程】:1996年11月17日 【山 名】:大江山(千丈ヶ嶽[833m]) 京都府北部 【コース】:[  ]はサイクルコンピューターに内蔵の高度計からの標高データ   福知山市天座[229]10:55−大江町二俣11:25[47]−12:10大江町山の家   −13:05鬼嶽稲荷神社[701]13:20…13:50千丈ヶ嶽[897]14:00   …14:35加悦町大江山憩いの広場[533]−赤石林道−14:45与謝峠[433]   −14:55天座               (「…」は登山道) 【タイム】:4時間(実走2時間52分48秒) 【速 度】:平均 12.4km/h;最高 40.4km/h 【距 離】:35.8km 【天 候】:晴のち曇 【標高差】:約800m 【地 図】:1:50000 「大江山」 【 メンバー】:S、はいかい ************************************************************************   この大江山コース、春から行きたい行きたいと思っていたのだが、いつの間に か夏になり、「夏は暑いから秋に行こう」と言っているうちにどんどん季節は進ん でいく。紅葉のシーズンも終わりかけた11月中旬の日曜日、ようやく行動に移す ことができた。  実は、先週の土曜日に計画していたのだが、前日のあまり芳しくない天気予報 と当日早朝のどんよりとした空模様に気勢をそがれ、計画の延期を決定。その後、 予報に反して天気は回復し、「こんなことなら行ったら良かった」と空を見上げて 過ごしたのだった。  さて、今日の予報は天気下り坂で、夜は雨とのことだが、日中いっぱいは保ち そうだ。今シーズンのラストチャンスと言っても良さそうだし、行くっきゃない。 同行のSもやる気満々だ。2台のMTBを積んだ車で、大江山麓の福知山市天座 へ到着。出発準備開始。  天座の集落の中を走り出す。が、寒い。手袋を指切りのものから、指の長いも のへ交換。集落の柿の木は、すっかり葉を落としオレンジ色の実をつけている。 晩秋の里の風景である。  集落を過ぎると道は細くなり、峠へと向かう。標高差100m弱の登りでであっさ り峠を越え、大江町側へと一気にダーッと下る。大江町側は標高差200m以上も下 る。これからの登りを考えると、あまり下りも楽しくない。途中、“串柿・茶の 里”橋谷を通過。谷の南斜面の小さな集落だが、日本の里という感じ。深まる秋 を感じさせる。  太陽の光も力強さを増し、体が暖まった。宮津へと向かう県道を北上する。元 伊勢の神社、鬼のモニュメント、伝説と民話の道を行く。道は徐々に勾配を増し、 標高を稼いでいく。  県道を左折し、鬼嶽稲荷神社へと向かう道へはいる。正面に見える鍋塚という 名のピークには、山頂付近の笹の緑と、その下の紅葉の色の境界がくっきりと見 える。  大江町山の家を通過。穏やかな日和になり、山の家の隣の大江山グリーンロッ ジにはたくさんの車がとまっている。  きつい登りを越えると千上ヶ原。佛性寺の集落には釣り堀があり、釣りを楽し んでいる人の姿が見える。紅葉と実をつけた柿の木が、ここでも秋の深まりを感 じさせる。  集落を過ぎると、ロッジが数件ある。ロッジの前のベンチで登山者が休んだり、 食事をしたりしていた。「どこまでェ〜」ときかれ、「千丈ヶ嶽を越えて加悦方面にィ 〜」と答える。鳩ヶ峰と鍋塚の間のコルの駐車場へと向かう枝道の分岐を過ぎる。  平坦な千丈ヶ原で足を休めたあと、またきつい登りが始まる。千丈ヶ原から見 ても、山頂はまだまだ上の方に見える。あえぎながら林の中の道をグイグイ登り、 景色が開ければ、ちょっと元気も出てくる。歩いている登山者達と励まし合いな がら登る。この辺りから、大江山連峰がパノラミックに広がる。鳩ヶ峰と鍋塚の ポコポコッとしたピークが並んでいる。  やっとたどり着いた鬼嶽稲荷神社で、小さな焚き火の側のベンチに腰掛け、持っ てきた食料を腹に入れる。天気は下り坂で展望は今一つ。見えるはずの若桜富士 (青葉山)も確認できない。伊根湾は微かに見えるか?途中で追い越した登山者が やってきて、先に山頂へと行ってしまった。  体が冷えてきたので、出発。ここから山頂までは1.2kmの登山道、押し担ぎの始 まりである。いきなり急な道で、Sに引き離されてしまう。SのMTBはアルミ、 私のそれはクロモリ。私が遅れたのは、MTBの重さのせいということにしてお こう。  千丈ヶ嶽は緩やかなピークで、勾配が緩くて乗車可能な区間がある。そればか りか下りまであった。  木立を抜けると、空が開けて、山頂。コース最低点から標高差800mを登り詰め た。標高833mの大江山千丈ヶ嶽は丹後の最高峰。ということは丹後であり得る、 最大の標高差を体験したということである。  それにしても、寒い。しかも閑散としている。温度計は6℃、冷たい風が吹き、 太陽も隠れてしまった。千丈ヶ原までは見えていた青空も雲に覆われて、いつ雨 が降るかというような雰囲気だ。周囲の木々は、全て葉を落とし、初冬の趣。3 週間前に来たときの紅葉が嘘のようだ。あのときの穏やかな天気なら、山頂でい くらでも長居できるのだが、今日はさっさと下山。  ゴロゴロした小石にビビリながら、来た道を途中まで引き返す。分岐を右に行 き双峰へ向けておりる。比較的緩やかな登山道なので、テクニックのない我々で も、乗車したままで行ける。でも、怖い。楽しむ余裕などない。  林道区間を経て、ススキの穂が風になびく山河(サンゴ)峠に到着。  千丈ヶ嶽とその南の赤石岳との間のコルは、かつて山河峠と呼ばれ、与謝峠が 通じる以前は、丹後と丹波を結ぶ主要路線だったそうだ。もちろん、車などない 時代のことである。  山河峠から、大江山憩いの広場までは階段となり、テクニックのない我々は乗 車できない。それでも下りなので、すぐに憩いの広場に到着。ここには、赤石岳 に登るミニモノレールやフィールドアスレティックなどの施設がある。大江山縦 走のときの基地でもある。  憩いの広場から、舗装路を下り、すぐに赤石林道へと左折。赤石岳の山腹を巻 くこの林道は、麓から真一文字にくっきりと見える。つまり、眺めがいいのであ る。しかし、今日のコース取りは緩い下りで道幅も広く走りやすいため、景色な ど見ずにあっという間に通過。旧与謝峠へ到着。  自動車がビュンビュン通るR176の与謝トンネルに対し、その上の旧峠はひっそ りとしている。そのまま、R176を避け、旧道を選ぶ。あとは下るだけ。  天気はなんとかもった。これからの季節、晴れる日が少なくなり、今日走った コースは雪に覆われることだろう。今シーズンも終わりだなあ。                ☆京都府丹後半島☆ CXJ03743 《はいかい》 ↑ページトップへ