秋の但馬中央山脈お手軽ハイク/妙見山・蘇武岳
 9時に家を出る。いつものルーズな我が家の山登りスタイルに比べれば、今日はこ  れでも画期的な出だしである。大阪から妹一家を迎えての賑やかハイキング。こた  じま3人に加え、妹の娘2人を加えてますます賑やかだ。母たじまも元気に参加。  八鹿から名草神社の道標に導かれて谷を詰める。椿色(つばいろ)のバス停から右  に向かえば日畑(ひばた)の集落。林道が無い頃は日畑からの山道が、名草神社へ  の参道であり妙見山へのメインルートでもあった。今、この道を歩く人は少ない。  椿色からまっすぐ向かう。急斜面をぬって、この谷最後の集落である石原の村を抜  ける。祭りののぼりが上がり、子供だんじりを追い越す。秋祭りの季節だ。  村を抜け、ヘアピンカーブを駆け登ったところが日光院というお寺。この先、本格  的な林道となる。道は良く整備されており、名草神社までは何の不安もなく走れる。  名草神社の手前約1Kmの所に妙見キャンプ場への入り口があり、ここで左折する。  左折してすぐ左に駐車スペースがあり、ここに駐車して妙見山から名草神社の周回  コースを歩くのが良いだろう。今日は帰りを急ぐ妹一家のために、キャンプ場から  妙見山をピストンすることにする。  キャンプ場管理棟手前に駐車場があり、車はここに置く。林道は管理棟からさらに  奥の大ナルと呼ばれる登山口まで続くが、案内板に従いここから歩くのがルールだ。  10時ちょうどに歩き始める。ブラブラと林道を歩くこと15分。登山口に到着。よく  手入れされた杉林の中の階段道を上がってゆく。  登山道は本当によく整備されていて、まわりの木には綺麗な解説プレートが掛かっ  ている。これを読みながら歩くだけでも、とても勉強になる。つづら折りの道を20  分歩いたところで、視界が開ける。見晴らし台と名付けられた場所だ。ここに1本  の大きなブナがある。背はそんなに高くないが、大きく広げた枝ぶりは堂々とした  ものだ。話には聞いていたが、今年は本当にブナの大豊作だ。ブナのまわりにはた  くさんの実が落ちている。皮を剥いてそのまま口にほうばると、香ばしくて美味し  い。脂肪たっぷり、森の動物たちのごちそうだ。去年はひもじい思いをした動物た  ちも、今年は山でたっぷり餌にありつくことができるだろう。  見晴らし台から先は尾根伝いの道となる。ブナの木に混じって、ナナカマドの赤い  実や、ムラサキシキブの紫の実が彩りを添える。本格的な紅葉の時期にはまだ早い  ようである。ブナから下がったツルに、こたじま/GENがぶら下がろうとした途端、  ツルが木から落下するハプニング。女の子たちは終始お喋り。頂上直下でヒメオオ  クワガタの越冬個体を発見。11時25分、見晴らし台から40分で標高1139m の妙見山  山頂に到着。方位盤が地上に埋め込まれている。ガスが上がってきて展望は無い。  晴れていたとしても北方向にわずかな展望があるだけの山頂は、地元でもあまり人  気のある山では無い。実のところ、私自身ピークを踏むのは初めてのことであった。  我々以外、誰もいない山頂で賑やかな昼食。おにぎりに加え、湯を湧かしてカップ  ラーメンとインスタント味噌汁を振る舞う。肌寒い山頂に、暖かい物が何よりのご  馳走だ。食後のコーヒーも欠かせない。2リッターの水はすっかり消費。12時ちょ  うどに下山開始。  ここから北に向かって尾根を下り、妙見峠から名草神社を経て出発点に戻るのがこ  の山のモデルコースであるが、今日は来た道をそのまま引き返す。登る時は感じな  かったが、下ってみると案外きつい尾根道であることに気づく。見晴らし台まで戻  った時には膝は大笑い。考えてみると、5月のスズノコ狩りから山に入っていない。  普段の運動不足をつくづく感じた次第。妙見キャンプ場を散策して、13時15分駐車  場着。下山途中、3組ほどの登山者とすれ違った。  先に帰る妹一家を見送り、我々は林道を一路蘇武岳を目指す。名草神社から先の林  道は以前はかなり荒れていて、4駆車でないと不安を覚えるほどであったが、最近  は観光道路としての色合いが濃く、道も整備されて走りやすい。15分ほど走ると  金山峠。昨年11月、あきゆきさんと登った尾根道がお地蔵さんの後ろに続いてい  る。尾根の西を北に向かう林道は、蘇武岳直下を経て神鍋高原に到る。  金山峠から10分ほど北上すると、蘇武岳の真下。広い路肩に車を止めて、5分で  山頂。こんなのは登山でも何でもないが、1074m のピークを踏めることには違いな  い。年輩のグループが出発されようとしているところであった。聞けば名色からの  ピストン登山の様子。わずかに切れたガスの切れ間から豊岡方面が見えたが、すぐ  にまたガスに隠れてしまった。昨年夏の「植村直己冒険塾」で登った時の記念碑は、  殆どの文字が消えて判別不能になっていた。それでも目を凝らしてよくよく見ると、  「あきゆき」のサインが分かり、その隣に我が家のサインがあった。  蘇武岳から北に伸びる尾根筋は、若いブナ林が美しい。林道から見上げる明るいブ  ナの林は、実にすがすがしい。このブナ林が終わるあたりに小さな湿地がある。カ  キツバタの自生地として最近知られるようになった場所だ。母たじまを道案内に、  その湿地まで行ってみる。トラロープが張ってあって、マムシ注意の看板。今は何  も無い、静かな湿地である。来年、花の季節に訪れてみたい。  林道は奥神鍋スキー場の最上部を横断し、神鍋と村岡を結ぶ林道に合流する。左に  向かえば村岡。右折して神鍋に向かう。狭い林道は運転要注意。神鍋渓谷を経て国  道482号に到る。この国道、数年先には蘇武岳の下をブチ抜くトンネルで村岡を走る  国道9号とつながる予定である。  稲刈りの終わった田圃道を走りながら見上げると、さきほど立っていた蘇武岳は雲  の中であった。染まりかけた山麓の山肌に、青いパラグライダーがゆっくり降下し  ていった。  ★妙見山登山記録  【登山日】95年10月10日(火)  【目的地】妙見山(1139m)  【山 域】兵庫県北部・但馬山岳  【コース】妙見キャンプ場よりピストン  【天 候】曇り  【メンバー 】たじまもり一族(5人)+母たじま+妹たじま一族(4人)  【マップ】エアリアマップ59/氷ノ山  【タイム】駐車場10:00 → 登山口10:15 → 見晴らし台10:35-45 → 妙見山11:25          13:15 ←    12:55 ←      12:30-35 ←    12:00                            ○▲▲たじまもり▲▲☆ ↑ページトップへ