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カタクリハイキング'11、三川山



シャクナゲ

今年のカタクリハイキングは、例年になく遅い日程となった。暖冬だった昨年
は4月10日に登って見ごろのカタクリと出会えた。大雪が続いた今年の冬は
山の雪解けが遅い。

GW初日、朝はよく晴れたが三川権現を出発する頃になって俄に雨雲に覆われ
た。初認のオオルリの声に励まされ、シャクナゲ尾根に取り付くと結構な雨と
なった。Yさんご夫妻はしっかりした装備で安心だが、雨の備えのないシュン
ちゃんの装備が心もとない。谷からガスが上昇し、雨足は次第に弱くなりつつ
あった。西の空は明るく、天気は早い速度で回復することが予測されたので、
しばらく雨に打たれてもらうことにする。

シャクナゲが満開である。雨のシャクナゲはことのほか色鮮やかで、フラット
で緩やかな光線に浮かぶ新緑の中に一際あでやかであった。屋久島を彷彿させ
るねと妻がいったが、まさに、そんな感じであった。いつもなら息が上がる急
登も、雨の湿気のお陰で楽だ。休憩なしにトラバースまでワンピッチ。

トラバースは雪崩で荒れている。カタクリの花をポツポツと認めながら辿る。
日当たりのよい斜面にはオオイワカガミブナ林の新緑がシャクナゲに彩られ
て美しい。カタクリは雨にしぼんでいたが、このような姿もまた風情である。

いつもの地点でお昼にする。この頃には雨はすっかり上がって、急速に青空が
広がった。見下ろす谷には雪がかなり残っている。水を汲みに沢まで降りる。
斜面にキクザキイチゲサンインネコノメ。雪解け水は手が痛くなるほど冷た
く、その水で入れた味噌汁と食後のコーヒーは味わい深かった。時折ミソサザ
イのソプラノが聞こえ、ピョーピョーと呑気なアオゲラの声がアクセントを入
れた。

カタクリの自生地は雪崩で地表が削られた加減だろうか、例年に比べて株数が
極端に少なく感じた。雨に濡れたカタクリ花びらが開き加減のカタクリつぼみのカタクリも多くみかけた。

折り返しの下山は晴天のトレッキング。往路で眺めた雨の風景は、再び新緑の
輝きに満ちている。ブナの倒木に出ていたのはナメコ。雨上がりのシャクナゲ
尾根はよく滑った。ゆっくり慎重に降りてゆく。登り時に撮ったシャクナゲの
ポイントで同じようにシャッターを押す。これはトップ写真と同じ場面。
この写真も登り時のものと比較してみると面白い。陰影のない雨の景色の美し
さを改めて思う。

尾根の取り付き直前で2名の年配男性の登山者とすれ違う。この日はじめて出
会った別パーティであった。谷に降り立つとエンレイソウが目を引いた。登り
と同じ沢沿いを辿り、堰堤の浅瀬で渡渉する。

堰堤下では、往路ではしぼんでいたキクザキイチゲミヤマカタバミが白い花
を咲かせていた。登山路入口のミツマタは一房の花しか付いていなかった。
途中の河原でコゴミのお土産を少し摘んで、今シーズン最初の山歩きを終えた。


 【 登山日 】11年4月29日(金)
 【 目的地 】三川山
 【 山 域 】但馬
 【 コース 】三川権現よりピストン
 【 天 候 】雨のち晴れ
 【メンバー】シュンちゃん、Yさん夫妻、たじまもり夫婦
 【 マップ 】持たず(エアリアマップ「氷ノ山」参照)
 【 タイム 】権現10:30…カタクリ自生地11:40-12:50…権現14:20
 ※撮影:D90+SIGMA10mmFEx1.4