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カタクリハイキング'10、三川山



カタクリ

我が家の山シーズンは、いつも三川山のカタクリとともに始まる。この季節が
巡ってくると、1年の歳月を思いやる。年齢とともに、1年という時間感覚は
年ごとに短くなってゆく。

今回のゲストは友達のシュンちゃんと、シュンちゃんの同僚Yさんの奥様Tさ
ん。Yさんはあいにく仕事が重なって残念だった。奥様に2倍楽しんでもらう
ことにしよう。

三川権現社から出発間際、本堂で法事が行われていたご家族のお一人がシュン
ちゃんのかつての職場仲間。ばったり顔を合わせて「あら、こんなところで」
という運びになった。法事で栃餅を作ったので山で食べてくださいと持たせて
くれた。

そんな思いがけない交流があって、予定より10分遅れて歩行開始。杉林を抜
けるとギフチョウが優雅に飛んで行った。堰堤越えから沢に下りる道が少々不
安。渡渉すればしっかりした登山路になる。沢を渡ってすぐ、1輪のカタクリ
を路傍で見つけた。この1輪で今日の目的は果たされた気になるが、あくまで
も山歩きがメイン。カタクリに元気をもらって尾根に取り付く。

オオイワカガミはまだ蕾で、イワナシが開花していた。シャクナゲの季節には
少し早かったが、一箇所で花と蕾を楽しませてくれた。今年のシャクナゲは裏
年に当っているようだ。花芽の付きが悪い。

ヒメコマツのコルで一服してからシャクナゲ尾根を登り切り、トラバースに入
るとカタクリが次々と目に入ってくる。今回は植物の先生がいないから、道中
の花も見過ごしがち。これはタチツボスミレ? 登山路に張り出す小さな桜は
キンキマメザクラ。ここでもギフチョウが飛んだが、カタクリの吸蜜シーンに
は出会えず。

1時間ちょっとの歩きで目的地に到着。カタクリに囲まれながらお弁当を開く。
沢の水を汲んで上がって、皆さんにインスタント味噌汁を振舞う。Tさんから
は京都のタケノコ煮、シュンちゃんからは水俣のハッサク、それぞれの差し入
れを美味しく頂く。デザートは下で頂いた栃餅。香ばしくて美味しかった。

食後は思い思いにカタクリと向き合う群生の開花数は少なめだったが、すべ
て新鮮な花で楽しませてくれる。開花直前の蕾も見かけた。魚露目カタクリも
撮っておく。こちらはキクザキイチゲ。

さて、本日のもう一つの目的は、続けてきた父の散骨のフィナーレ。昨秋、氷
ノ山、蘇武岳、扇ノ山、阿瀬渓谷と父の好きだった4つの山に骨を埋めてきた。
春になったら三川山のカタクリの中に最後の骨を埋めようと決めていたのだ。
1輪のカタクリが咲くブナの根元に葬ってやった。

13時ちょうどに下山開始。ブナ林の芽吹きには少し早い。アセビの花は今期
は少ない。尾根のシャクナゲを腕を伸ばしたノーファインダーで撮る。いつも
の堰堤を見下ろすビューポイントで記念写真。下り切ったところでシュンちゃ
んの呼ぶ声。鹿の皮剥ぎの跡だった。

名前の分かる花の写真を撮りながら最後の歩きを楽しむ。
エンレイソウ、往きに撮ったカタクリを魚眼でもう一度。
ヤマルリソウキケマンミヤマカタバミミツマタ

車に戻り、登山靴を脱ごうと姿勢を崩した途端、左足のふくらはぎにこむら返
り。猛烈な痛みに顔をしかめた。少し治まってから境内で記念撮影。写真には
写っていないが、境内の裏にはまだ少し残雪があった。池の隣にあったボット
ン式公衆トイレは、場所を移動して新設されていた。水洗の気持ちのよいトイ
レに変わったのが嬉しい。

山歩き中は20度を越す陽気の中、気持ちよく歩き通すことができた。予報の
通り、車を出す頃には空は雲に覆われて、天気は下って行った。帰り道、河原
のコゴミを少し摘んでお土産にした。この山が初めてのTさんに、今回の山歩
きを楽しんでもらえたようで良かった。次回はご夫婦で御一緒できればと思う。


 【 登山日 】10年4月10日(土)
 【 目的地 】三川山
 【 山 域 】但馬
 【 コース 】三川権現よりピストン
 【 天 候 】晴れのち曇り
 【メンバー】シュンちゃん、Tさん、たじまもり夫婦
 【 マップ 】持たず(エアリアマップ「氷ノ山」参照)
 【 タイム 】権現10:40…カタクリ自生地11:50-13:00…権現14:10
 ※撮影:D90+SIGMA17-70,10mmFE,DX35mmGyoro8