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カタクリハイキング'05、三川山



カタクリ
カタクリ

昨年は一日遅い4月17日に登って最盛期は過ぎていた。今年は山に雪が多かっ
たので開花が遅れている。さて、もう一週間延ばすかどうか悩んだ。いくつか
の近隣からのカタクリ開花情報があり、4月16日の土曜日に登ることに決め
た。昨年は仲間11人で賑やかに登ったが、今年は声を掛けても集まらなかっ
たのが残念。妻たじまと二人、しっぽりと歩くことに。

週末の天気は2週続きの快晴。前週末は円山川を下っていたが、今日は山歩き。
遊ぶことにかけては、めっぽう真面目な私なのである。R178の土生トンネ
ルを下ると、3月に開通となった香住道路へのアクセス交差点を横切る。海岸
回りより10分以上の短縮となる。この道路は舞鶴鳥取道の一部として供与さ
れているが、全線が繋がって有料道路となるのはいつのことやら。

下岡の食堂に「栃餅」の看板が出ていた。2パックを買って車内でさっそく一
つずつ頬張る。トチのほろ苦い香ばしさと餡の絶妙なハーモニー。以前にも増
してここの栃餅は味を上げたようだ。お薦めである。新緑の佐津谷を詰め、こ
こでも台風23号の爪痕をいくつも確認しながら、三川権現社には10時半に
到着。我々以外には誰も山に入っていないようだった。

森の入口でいつものミツマタが迎えてくれる。堰堤の下で工事中の人に出会っ
た。権現社への上水道の補修工事だと言っていた。堰堤の階段を上るといよい
よ三川山といった気分。オオタチツボスミレナガハシスミレヤマルリソウエンレイソウミヤマカタバミなど、おなじみの春の花を撮影する。渓流への
下り口は台風で地形が変わった。慎重に下りると渡渉の簡易橋は跡形もない。
川幅の狭い場所を選んで石伝いに何とか渡る。

シャクナゲ尾根に取り付きゆっくり高度を上げる。両耳で渓流の音を聞きなが
ら、ときおりオオルリの囀りを確認する。クロツグミやツツドリの到着は未だ
のようだった。シャクナゲがぼちぼち花を咲かせて、新緑を背景に美しかった。
息を切らしながら岩尾根を辿るが、目につくオオイワカガミの花はまだだった。
イワナシの花を見つけた。小さなロウ細工のような、透明感のある花。息を整
えるために立ち止まれば、頭上を覆う新緑のブナの葉陰にはたくさんの花がつ
いていた。昨秋はブナの裏年で実がつかなかった。里への熊の出没の原因の一
つとされたが、今年の秋の森のドングリは多そうだ。

妻たじまがシャクナゲ越しに見える奥の斜面にカタクリの群生地を見つけた。
こんなところに大きな群生地があったとは今まで気づかなかった。下山時に少
し分け入って撮影してきたこの群生地の写真がこれ。急斜面のかなり下の方ま
で花を確認することができた。尾根を登り切って一休み。

いつもの群生地に至るまでの斜面で、いくつかの小規模な山崩れが起きていた。
こうして自然が形を変え、植生の分布が広がってゆくのだ。この山のカタクリ
の分布は確実に広がっている。毎年この時期にこの山を歩いて思うことである。
登山路を挟んで広がる大規模な群生地がいつもの終点。見事なカタクリに我を
忘れて撮影に熱中する。予想通りの「見ごろ」だった。まだつぼみのものも沢
山あり、固いつぼみ状態から満開までの、あらゆるステージのカタクリを心ゆ
くまで楽しんだ。この場所での今回のベストショットはこれ。

犬連れのペアが山頂を目指して通り過ぎて行った後、愛妻オニギリの昼食。
お湯を沸かしてインスタントの味噌汁をこしらえる。体を動かさないと思いの
ほか風が冷たい。熱い味噌汁がご馳走だ。満腹になったところで散策を再開。
急斜面を谷に下りてみると残雪が結構ある。この斜面のカタクリはまだつぼみ
も出ていないものも多い。日当たりによって開花のタイミングがかなり違う。
ひっそり咲くキクザキイチゲが綺麗だった。

播州から朝早く出てきたとおしゃるペアが登ってこられたのを契機に、我々は
来た道を引き返す。帰りにここで写真を撮ろうと決めていたブナ林。妻たじま
を山道に残して斜面を下りる。明るい林床に咲くカタクリとブナの新緑を一緒
に入れて撮影したかったのだが、なかなかうまくアングルがとれない。トップ
写真がこのときの1枚。目覚めた森の雰囲気が伝わるだろうか。もう少し近く
にカタクリの数が欲しかったのだが、なかなか思うようには行かない。

午後になってさらに花の数を増やしたシャクナゲを愛でながら、痩せ尾根を慎
重に下り切った。登山路脇で妻たじまが見つけた1株のネコノメソウ。阿瀬渓
谷で確認しているサンインネコノメであった。

堰堤下の水道工事はまだ続いていた。親爺と短い会話を交わして山をあとにす
る。妻たじまが足元に見つけたキケマンを撮影。三川権現の日陰には結構な雪
が残っていた。境内の斜面にはショウジョウバカマがいくつか咲いていた。

駐車場には、すれ違った2組の分だけ車が増えていた。ベンチに座って朝買っ
た栃餅を二人で食べた。途中の河原でコゴミを採り、米地味噌の直売所に寄っ
てから帰宅。夫婦水入らずの、よい山歩きとなった。


 【 登山日 】05年4月16日(土)
 【 目的地 】三川山
 【 山 域 】但馬
 【 コース 】三川権現よりピストン
 【 天 候 】快晴
 【メンバー】妻たじま、たじまもり
 【 マップ 】持たず(エアリアマップ「氷ノ山」参照)
 【 タイム 】権現10:40…カタクリ自生地11:40-12:40…権現14:00
 ※撮影はすべてNikon Coolpix5000(+WC-E68)