トップたんたん山ある記三川山>このページ

カタクリハイキング'04、三川山



カタクリ
カタクリ

毎年、山歩きのパターンが決まってきた。シーズン最初の歩きは阿瀬渓谷でザ
ゼンソウとワサビを楽しみ、里の春が本格化すると次に三川山にカタクリを見
にゆく。同じことを繰り返しながら、変わらぬ森に老いゆく身を置いて1年の
時間スパンを感じてみる。

地元の仲間に声をかけ、11人のメンバーが揃った。少し余裕を見すぎた我が
家は10時に権現社に到着。同乗のシュンちゃんと神社の周りを散策しながら
メンバーを待った。定刻に濁酒ファミリーとよっくんが、15分ほど遅れてKoh!
夫妻とベガさんが到着した。よっくん講師の植物ガイドに時折足を止めながら
堰堤の階段を上がり、沢を渡ってシャクナゲ尾根に取り付く。

暑いくらいの晴天に、登山シャツを脱いでTシャツだけになる。偶然にも駐車
場で出会った鳥仲間のKingFisher氏とヤーコー氏の2名は、ここで散策してか
ら引き返すとのこと。別れを告げ、我々パーティはいよいよ急登の岩尾根に向
かう。少し登ったところでよっくん講師より解説が入る。指差された右手の斜
面にはブナとシイが並んで立っていた。海岸に分布する照葉樹のシイと標高3
00mに満たないあたりにブナが共生しているのは、但馬の森を特徴づけるも
のだと説明を受けた。

足元にはオオイワカガミ、目の高さにはシャクナゲの花、谷になだれ落ちる崖
にはユキグニミツバツツジ。濃淡ピンクの花が新緑の緑の中に一際美しい。
それぞれのペースで尾根を登りきり、息を整えながらトラバース道を東に歩く。
ブナの森のすがすがしさに癒されながら、斜面に現れてくるカタクリの花を愛
でる。トキワイカリソウ白花のスミレサイシンなどを観察しながら本日の目
的地に到着。

登山路を挟んだ斜面にはカタクリの花が咲き誇っていた。花期は最盛期を過ぎ
ていたが、その可憐な花は十分楽しむことが出来た。思い思いに写真を撮った
あとはランチタイム。登山路に腰をおろしてノンビリお弁当を広げるスタイル
は、但馬のローカルハイキングならでは。谷にこだまするオオルリ、クロツグ
ミ、ミソサザイといった美しい鳥の囀りを聞きながらゆったり時間を過ごす。

ギフチョウが飛来し、足元のカタクリにとまって吸蜜をはじめた。カタクリの
花にギフチョウというのは、スプリングエフェメラルという言葉に最もポピュ
ラーな組み合わせとしてよく見る写真であるが、やはり目の前でそれが展開す
るとカメラを構えずにはいられない。しかし、ギフチョウは短く生きるために
忙しいのであって、わざわざ我々のためにポーズを保ってくれるはずも無かっ
た。ヒラヒラと頼りなげに、すぐに次の花に向かって飛び去った。

下山を開始すると、ちょうど二人の男性登山者が登ってきたところだった。首
に一眼レフを下げ、やはりカタクリ目当ての山歩きだった。今回はトレッキン
グポールを持ち忘れてきたので、急斜面の下りは神経を使った。沢に下り立ち
ニリンソウの(ピンボケ)写真を撮ってから清流で顔を洗う。ペットボトルに
水を汲んで帰る人も。

13時30分、予定通りに駐車場に一足先に帰着し、植物観察しながら下って
くるメンバーを待った。神社とシャクナゲをバックに全員で記念撮影。
ここで解散となり、たじまもり号とKoh!号は米地味噌を買いに寄り道。途中の
食堂で栃餅を求めたが、1パックしか残ってなかったのが残念。その場で6人
が分け合って頬張った。相変わらずここの栃餅は美味しい。
味噌を買い求め、香住町に向かうというKoh!号と別れ帰途についた。

シュンちゃんを送り届け、庭で育てたウドを戴いて帰った。さっそく我が家の
夕食の一品にウドの酢味噌和えが添えられたが、これが絶品の美味さ。夕方に
濁酒さんが届けてくれたワサビの醤油漬けも美味しかった。翌日の朝には、よっ
くんさんの竹薮でタケノコを掘らせて戴き、これまたその日のうちにタケノコ
ご飯となって家族を喜ばせた。但馬の森と良き仲間に囲まれていてこそ、私た
ちは豊かに暮らせる。そんなことを再確認した春の週末であった。


 【 登山日 】04年4月17日(土)
 【 目的地 】三川山
 【 山 域 】但馬
 【 コース 】三川権現よりピストン
 【 天 候 】晴れ
 【メンバー】よっくん、濁酒ファミリー、ベガさん、シュンちゃん、
       Koh!夫妻、たじまもり夫妻(計11名)
 【 マップ 】持たず(エアリアマップ「氷ノ山」参照)
 【 タイム 】権現10:45…カタクリ自生地11:50-12:35…権現13:30