河原で山菜を摘む家族連れ、沿道のヤマブキ、小さな集落に咲く八重桜。柔
らかな春の景色に包まれた佐津谷を詰める。前を行く白いジェミニは濁酒さ
んだ。集合時刻の14時ちょうどに三川権現社前の駐車場に到着。Koh!夫妻、
ベガさんが待ちわびていた。少し遅れて萬屋さんが到着。パティオで参加を
呼びかけて集まったメンバーと、今日は我が家も全員揃って、午後からのカ
タクリハイキング。
歩き始めてすぐに、高い梢の上からオオルリの声が降り注いだ。地上に目を
やればスミレ、イチリンソウ、ミヤマキケマン、ミヤマカタバミ、ヤマルリ
ソウなど、おなじみの春の花たちが迎えてくれる。写真を撮ったり、おしゃ
べりしながら、砂防堰堤を越え、倒木を渡しただけの橋を渡り、ほどなくシャ
クナゲコース(Aコース)の入口に到着。
子供達に先導されながら、急な痩せ尾根をゆっくりと登る。新緑の中にシャ
クナゲがちょうど見頃で、ピンク色のグラデーションが美しい。両側の谷か
ら聞こえる沢音が心地よく、春霞に遮られた柔らかな日の光が暖かい。一汗
かく頃に尾根上部に到着。息を整えながら左にトラバース。
すぐにカタクリが現れた。登山道の下の急斜面に沿って、かなり大きな群落
で花を咲かせている。後続の面々の歓声を聞きながら、いつもの地点まで先
に足を進めた。小さな崩落場所を乗り越えたところが本日の終点。昨年と同
じように、登山道を挟んで斜面の上から下までカタクリの花が咲乱れている。
少しタイミングが遅いかもしれないと心配していたが、まさに満開のカタク
リに出会えて良かった。コーヒーを沸かし、カタクリの斜面から見える谷越
しの萌黄色の山並みを眺める。眼下の谷に沿って、まだかなりの雪が残って
いる。ミソサザイの晴れやかな囀りが、山の春を告げているようだった。
15時30分を合図に下山開始。トレッキングポールを忘れた私のために、
息子たじま/YUUが枝で杖を作って渡してくれた。慎重に尾根を下りながら、
もう一度シャクナゲの美しさを味わった。
「ここを、いろんな動物たちが渡っているんだろうね」
沢の渡し木を見ながら、Koh!さんが言った。宮崎学さんの「けもの道の四季」
の映像が、目の前の風景に重なった。
堰堤の上から振り返ると、春霞の三川山主峰を従えたシャクナゲの尾根が印
象的で、その中を登山者が下りてくるのが見えた。道端のミヤマカタバミは
花を閉じ、春の一日を終えようとしていた。
【 登山日 】2000年4月22日(土)
【 目的地 】三川山中腹(標高500m地点)
【 山 域 】但馬中央山脈
【 コース 】三川権現からAコースピストン
【 天 候 】薄曇り
【メンバー】Koh!夫妻、ベガさん、濁酒さん、萬屋正右衛門さん、
たじまもり一族
【 マップ 】エアリアマップ「氷ノ山」
【 タイム 】自宅13:03…三川権現P13:57-14:04…Aコース入口14:24…
痩尾根終点14:44…標高500m地点14:56-15:30…
Aコース入口15:56…三川権現P16:20
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