晴れ渡った日曜日の午後、中途半端な時間を神鍋山の散策で満たすことにし
た。母たじまを迎えに行くと、幼稚園の姪もお供に。宿題の残っているこた
じま/YUUと監督役の妻たじまを残して出発。
神鍋温泉「ゆとろぎ」横の道をゲレンデに向かって上がる。ヒュッテ前の広
場に車を置き準備を整えた。実のところ、今日母たじまを誘ったのは、先日
プレゼントしたLEKIのトレッキングポールの使い心地を試してもらいた
かったからだ。私も、新しく買い直した自分用のLEKIのポールを試して
みたかったのである。
ポールの世話になるような坂道ではないが、意識してポールを突いて歩く。
母たじまに、ポールの長さの調整方法などを教えつつ歩けば、すぐに火口跡
のお鉢に到着。ススキの白い穂が揺れる。
岩倉ゲレンデを登る
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神鍋山火口跡にて
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火口底まで続くススキの波は、斜めの光を受けて白くうねっている。火口の
中からは、かつてここから溶岩が噴き出していたという雰囲気はしないが、
お鉢の周りには軽石や火山性の赤い土があって、当事の様子を想像すること
が出来る。
見晴らしの良い草の上でコーヒーを沸かす。今日は、この時間帯でも空気が
澄んでいて、遠くの山並みがよく見えている。ちょうど3時のチャイムが鳴
り、こだまが重り合いながら谷を転がって行った。目の前に、オープンした
ばかりの但馬ドームの白い三角形が目立つ。
「おいしい」と母たじまがコーヒーを啜り、子供達は好き勝手に走り回って
いる。近くの木にアオゲラが止まった。双眼鏡に大きくその姿が入った途端、
子供達のはしゃぎ声に飛び立ってしまった。
ススキ野原の火口
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整備しなおされた遊歩道
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長い休憩時間の後、時計周りにお鉢を回る。リンドウ、ツリガネニンジンな
どがススキの根元にポツポツ咲いている。半周したところに新しい東屋があっ
た。ここを左に入って火口跡から離れる。アキノキリンソウの黄色が目立つ。
この道も整備しなおされたようで、新しい道標が立っていた。少し悩んで、
「風穴」の案内に従って、歩いたことのない道を下ってみることにした。
神鍋山山麓には火山活動が作り上げた風穴があり、その横に建つ風穴庵の麦
とろと栃餅が絶品。何度か車を使って店に行ったことがあるが、神鍋山から
歩いて風穴に到ったことはなかった。
アキノキリンソウ
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ツルリンドウの実
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キノコやドングリを探しながら、雑木林の中を歩くのは本当に気持ちが良い。
木漏れ日が暖かく、暖められた地面では沢山のドングリが芽を出していた。
「トトロみたいだね」と、こたじま/KAOが言った。本当だ。この森にはトト
ロが棲んでいそうだね。
しばらくして分岐に出る。右に折れて風穴、そのまま直進で駐車地点に向か
うようであった。今回は無理せず直進で車に向かうことにした。やがてお鉢
に上がる車道に合流。右に臨時のバリケードがあり、「スズメバチの巣あり。
通行止め」の札が掛かっていた。仕方が無いのでもう一度お鉢まで向かう。
草むらにゆっくり姿を消すのはマムシ。小型であるが、体の斑紋は気味が悪
い。カシワの木があり、根元のウロを見ると、5・6匹の巨大なスズメバチ
がなにやら作業中。思わず身構えて、そーっとその場を離れた。おおこわ。
芽を伸ばすドングリ
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火口遠景
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再びのお鉢の遊歩道、家族連れが次々に上がって来て賑やかだ。トレッキン
グポールを持ち歩く変わり者は我々だけであったが、ここまでの歩きで、母
たじまも私もTグリップのポールの扱いに慣れたようだった。母たじまは、
歩きがとても楽になったと喜んでくれた。
火口から北壁に向かい、パラグライダーのテイクオフを目の前で見学した。
下から吹き上げる風に大きくパラシュートを膨らませて、次々に空に飛び出
して行く。体に付けたハーネスやらへルメット。重装備の遊びであるが、空
を飛ぶってどんな感じなのだろう。
ゲレンデの最高地点より、もう一度但馬ドームのある風景を見下ろしてから、
翳り始めたゲレンデをゆっくりと下って行った。
北壁を飛ぶパラグライダー
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【 登山日 】98年10月25日(日)
【 目的地 】神鍋山(409m)
【 山 域 】但馬山岳
【 コース 】岩倉ゲレンデより散策
【 天 候 】晴れ
【メンバー】こたじま/KAO&GEN, 母たじま, 姪たじま/NARU, たじまもり
【 マップ 】不用
【 タイム 】意識せず
○▲▲たじまもり▲▲☆
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