海が見たくて依遅ヶ尾山


 体育の日を挟んだ三連休初日、朝から気持のよい青空が広がった。こんな休
 日には、広々した風景の中でお弁当を食べたいものだ。鉢伏高原にしようか
 少し迷った後、大きな海が目の前に広がる丹後半島の依遅ヶ尾山に決めた。
 こたじま/GENを連れてR178を東に向う。ちょうど一年前に一人で初登頂
 して以来、依遅ヶ尾山は私のお気に入りの一つになった。
 
 山腹の林道脇にある登山口まで、迷うことなく走る。広場には他の車は無い。
 12時丁度に歩き始める。「ありが棟」までは車も上がる広い道。道端には
 ゲンノショウコやミゾソバが花盛り。10分歩いて「ありが棟」の庵。中に
 は、自由に持ち帰りできる登山記念の新しい木のプレートが沢山置いてあっ
 た。こたじま/GENが一つ選んで、自分のザックの紐に結んだ。
ゲンノショウコ
ゲンノショウコ
ミゾソバ
ミゾソバ
 「ありが棟」横から右に上がる登山道に入る。クルミの実が沢山落ちている。  昨年は同じ場所にサルナシが沢山落ちていて、ハチやチョウが沢山寄ってき  ていたが、今年はその様子が無い。白い野菊が目に付く。シロヨメナだろう  か。南斜面の見晴らしのよいつづれ折りの角に、昨年と同じく、タヌキの溜  め糞があった。アケビの種らしき未消化物の残った糞を跨いで行く。大きな  広葉樹に混ざって、クサギの赤と群青が目を引く。
シロヨメナかな?
シロヨメナかな?
クサギ
クサギ
 急坂を登り切り、西に開けた平坦地で一服。海が見える。ここまで歩いてき  て、ジョロウグモの多さを感じる。木作りのベンチから腰を上げた直後、こ  たじま/GENが大きなオニグモを発見した。帰宅後、蜘蛛男H氏に同定を依頼  してイシサワオニグモと分かったが、今後はクモの名前も少しずつ覚えてゆ  きたいものだ。
ジョロウグモ
ジョロウグモ
イシサワオニグモ
イシサワオニグモ
 アカマツ林を抜け、最後の急坂を登り切ると、水平線が大きな孤を描いて広  がる山頂。暑いほどの日差しと、海から吹く風が肌に心地よい。海が一番よ  く見える場所に陣取って、オニギリをほお張る。山岳展望はまずまずで、但  馬の妙見山から三川山までの山脈もはっきり認識できる。双眼鏡を海に移せ  ば、竹野の猫崎半島から、その先の但馬海岸の岬が連なって見えた。    やがて下から人の声が聞こえ、最初に柴犬がひょっこり現れて寄ってきた。  続いて親子4人組が山頂に到着。ひとしきり賑やかになったところで我々は  下山開始。山頂直下でトリカブトを見つけて写真に収める。
目の高さで孤を描く水平線
目の高さで孤を描く水平線
トリカブトの一種
トリカブトの一種
 自然観察しながらのんびり下っているうちに、犬と4人組が下りてきて先に  行ってしまう。日陰のツリガネニンジンが目に入り、シャッターを切る。  新しいデジカメでのルーペマクロ撮影も、うまくゆくようになった。  アケビの落ちている場所で木を仰ぎ、沢山の実が付いているのを見つける。  木登り名人のこたじま/GENがさっそくサルになる。手の届くところまで登っ  てアケビの実を3つ戴き、家族のお土産にする。
ツリガネニンジン
ツリガネニンジン
アケビ
アケビ
 何故か先ほどの柴犬が再び山道を登ってきて、我々と一緒に歩き始めた。  「お前のご主人は、下で待っているんじゃないの?」と少し心配したが、  どうも我々を気にして付いて来るような素振り。駐車地点まで戻ってくれば、  先の家族連れの姿も無かった。  さて、この犬はどこからやって来たのだろう。おそらく、麓の村の飼い犬だ  ろうか。ガイドの労をねぎらって、こたじま/GENがパックンチョを一つプレ  ゼントすると、ボリボリと音を立てておいしそうに食べた。車を出せば、謎  の登山犬の寂しげな姿がサイドミラーの中で小さくなった。  「ちゃんと家に戻れよ」  西日が眩しい国道を、我々も家路に向った。
謎の登山犬
謎の登山犬
依遅ヶ尾山を振り返る
依遅ヶ尾山を振り返る
 【 登山日 】99年10月9日(土)  【 目的地 】依遅ヶ尾山(540m)  【 山 域 】丹後半島  【 コース 】丹後町矢畑経由、登山口Pよりピストン  【 天 候 】快晴  【メンバー】こたじま/GEN、たじまもり  【 マップ 】分県登山ガイド25「京都府の山」(山と渓谷社)参照  【 タイム 】自宅10:30…登山口P11:55-12:00(170m)…ありが棟12:10        …休憩所12:35-40(350m)…山頂13:15-14:13(540m)        …休憩所14:43-48…登山口P15:18 (括弧内の標高は腕時計の高度計の指示値)                         ○▲▲たじまもり▲▲☆