5月に入って2度目の日曜日も、五月晴れの登山日和に恵まれた。性懲りも
なく、早朝より阿瀬渓谷でオオルリ観察。あっさり振られて一旦帰宅。今日
は妻たじまと二人で山に向かおうと決めていた。山頂から海が見えて、帰り
には温泉というプランで、行き先は自動的に依遅ヶ尾山と決まった。私も春
にこの山を歩いたことは無い。妻たじまにとっては初めての依遅ヶ尾となる。
久美浜町のスーパーで買い出し。保冷バッグの中に缶ビールを詰めて、山頂
でのお楽しみとする。出掛けに帽子を忘れた彼女は、ここで420円の農作
業帽を購入。正式名は何と言うのか知らないが、このあたりのご婦人の外仕
事には必須アイテム。深いツバと、耳からうなじまでをすっぽり覆う布切れ
が、女性のデリケートなお肌を紫外線から守る仕掛けになっている。帽子と
頬かぶりを合わせたような被り物だが、首の下で紐を結んだその姿は、山行
きの格好としては少々滑稽だった。まあしかし、「格好は悪いけど、実用的
にはこれほど素晴らしいものは無い」と妻たじまにして言わしめる、なかな
かの優れものグッズの発掘ではあったようだ。
ノアザミ
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キンポウゲとベニシジミ
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凪いだ海は青く広がり、大きな弧を描いて空に続いていた。沖に向かって大
きな定置網があり、小さな漁船が時折行き来するのが見えた。丹後の海は絵
になる。車の中から二人して海の風景を楽しんだ後、バイパスのトンネルを
抜けて右折。走り慣れた道を登山口に向かった。
林道を上がったいつもの登山口には、先客のワゴン車が一台あった。身支度
を整えていると、近くでホトトギスが鳴いた。今シーズン初めて耳にする
「特許許可局」だ。すでに気温は高く、歩きはじめてすぐにTシャツ1枚に
なった。道端では咲き出したノアザミと、あちこちで黄色い花びらを光らせ
ているキンポウゲ(ウマノアシガタ)が目に付いた。
明るい南斜面をゆく
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ムネモンヤツボシカミキリ
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明るい南斜面は、歩いていても気持ちが良い。初めての妻たじまも、この山
道は気に入ったようだ。それにしても、前を行く彼女が後ろを振り向くたび
に、被った帽子をネタに二人して笑い合うのであった。
秋に歩いたとき、サルナシの実が落ちていたあたりで、黄色いカミキリを見
つけた。帰宅後図鑑で調べて「ムネモンヤツボシカミキリ」と分かったが、
サルナシが食草だと解説してあり、なるほどと思った。
ナルコユリ
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ツクバネウツギ
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いつも登山道の同じ場所にあったタヌキの溜糞が、古い痕跡を残して消えて
おり、ここで用を足していた見知らぬタヌキの消息を思った。息を整えなが
ら中間地点で休憩。冷やしたお茶が美味しい。しばらく続く急な坂道を登り
切り、アカマツ林に入ると山頂は近い。
山頂の岩を見上げ、その向こうから人の話し声が聞こえた。登りきると6人
ほどのグループが広場で車座になっていた。いつもながら感じる依遅ヶ尾山
のラストシーンは、この日も期待を裏切らない。雲一つ無い五月の空と大き
な海が、ただ青く広がっていた。
山頂からの日本海
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白花のトキワイカリソウ
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山頂でのランチタイムは、冷えたビールがうまい。大きな風景の中でゆっく
りと時間を過ごす。その間、先客の一団が下山し、別の夫婦連れが上がって
きた。なかなかの人気の山である。
すっかり満足した後、来た道を下山。途中、クロツグミ、キビタキの美しい
囀りが聞こえた。登山口が近くなると、出掛けに鳴いていたホトトギスが相
変わらず鳴きつづけていた。
山から下りた後は、お約束の「あしぎぬ温泉」へ。さっぱりと汗を流してか
ら帰途につく。
【 登山日 】2001年5月13日(日)
【 目的地 】依遅ヶ尾山(540m)
【 山 域 】丹後半島
【 コース 】丹後町矢畑経由、登山口Pよりピストン
【 天 候 】快晴
【メンバー】妻たじま、たじまもり
【 マップ 】分県登山ガイド25「京都府の山」(山と渓谷社)参照
【 タイム 】自宅発09:50…登山口P11:13-19…ありが棟11:30…
中間休憩所11:53-56…依遅ヶ尾山頂12:24-13:12…
中間休憩所13:36-40…ありが棟13:56…登山口P14:06
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