カッコウとスズノコとブナ林 但馬・氷ノ山6月11日〜12日に予定している関但すずのこオフの下見を兼ねて、鉢伏高原か ら「ぶんまわし」尾根経由で氷ノ山までのコースを歩いてきました。 【目的地】 氷ノ山(1510m) 【登山日】 94年5月17日(火) 【天 候】 曇り一時小雨 【マップ】 エアリアマップ59 氷ノ山 【同行者】 単独 【タイム】 自宅 6:15---鉢伏高原駐車場 7:10---氷ノ山・鉢伏山登山口 7:30 7:20 ---小代越 7:45---1019コル 8:05---ホード杉分岐 8:18---大平頭避難小屋 7:50 8:28---氷ノ山越 9:32---仙谷分岐 10:10---こしき岩直下 10:13--- 8:50 9:37 こしき岩頂上 10:17---氷ノ山山頂 10:25---こしき岩直下 11:07--- 11:00 仙谷分岐 11:10---氷ノ山越 11:35---大平頭避難小屋 12:23---ホード杉 11:40 12:45 分岐 12:55---沢降下 12:58---ホードー杉 13:07---ホードー杉分岐 13:37 13:25 1019コル 13:48---小代越 14:02---登山口 14:16---駐車場 14:28 14:05 *鉢伏高原から大平頭避難小屋へ 自宅を出る時からどんよりとした厚い雲が垂れ下がっている。好天は望めそうもな い。車で約1時間。鉢伏高原正面の大駐車場に到着。視界が全く効かないほどのガ ス。車から下りるとさっそくカッコウの声が出迎えてくれる。ホトトギス、ツツド リも鳴いている。天気さえ良ければ、真正面に鉢伏山の雄大な尾根が見えるはずで ある。着替えを済ませ、足早に出発する。霧がシャツやニッカにべっとりまとわり つく。10分で登山口に到着。ここにも4・5台は置ける駐車スペースがある。 遊歩道としても使われる階段道を登る。相変わらずカッコウが鳴いている。15分 で尾根に出る。小代越と呼ばれる分岐である。右に進路を取れば高丸山(1070m) を 経て鉢伏山(1221m)。 真っ直ぐ尾根を越えれば美方町の小代の谷に向かう。小代へ の道は今ではあまり使われないのか、はっきりした登山道が見えない。氷ノ山へは 左に進路を取る。相変わらずガスの中で、視界は10mも無い。積雪期であれば迷 う可能性が大きい広い尾根筋をひたすら歩く。この季節では道がはっきりしている 為、まず迷うようなことはなかろう。 15分あるいた所で1019コルを通過。この地点は下の大久保集落からの直登コース との分岐でもある。ここから15分ほどがコースでも一二を争う急登である。あえ ぎながら一歩ずつ高度を稼ぐ。周りの景色も一転し、一気に樹林帯に入る。ブナの 木が現れてくる。登り切った所がホードー杉への分岐。左のブナ林を入れば10分 ほどで兵庫県最大とも言われる大木、ホードー杉に着く。ここは帰りの楽しみにと っておくことにし、そのまま真っ直ぐすすむ。ブナの木が次第に大きくなり、チシ マザサが道の両側を覆う。スズノコがもう大きくなっている。一本頂き、皮を剥い てそのまま頬張る。少しエグ味があるが甘くて旨い。ホードー杉分岐から10分で、 大平頭避難小屋に到着。以外な早さに驚く。昨年6月に子供と母を伴って来た時は、 もう少し遠い感じがしていたが、一人だとこうも違うものか。駐車地点から1時間 10分ほどであった。 *大平頭避難小屋にて 昨年訪れた時には結構大きな小屋のイメージであったが、小屋の中に入ってみると 以外にスペースのないことに気づく。私の24.5cmのドタ靴で、縦14歩、横 11歩の床面積。真ん中に焚き火の為の3歩四方の窪みがある。最近の焚き火の跡 は無く、タバコの吸殻がかなりの数棄ててある。頂けないマナーである。鉄骨の三 角柱状の建物で、三方にベンチが設えてある。2方にアルミサッシの窓があり、か なりの気象にも耐える構造となっている。スコップ、ヒバシ、竹ボウキが置いてあ り、床が泥で汚れていることを除けば、きれいな部屋である。大きな缶が有って、 中には避難者のための毛布が入っている。二階部分にも梁が有り、板さえ敷けばか なりの人数が寝泊まりできそうであるが、残念ながら使用できるのは一階部分のみ である。詰めれば10人くらいは寝られそうであるが、快適に過ごそうと思えばそ の半数程度であろうか。まあ、山小屋ではなく避難目的の小屋であるので、多くを 望むのは間違いではあるが。 ベンチに置いてあった使用記録のノートに目を通す。2冊あり、NO1と書かれて いる方に重要人物の記録を発見! この部屋で私たちを「サワサワ」と魅了してく れた関西こまくささんの利用記録である。昨年の11月14日の記載で、9:00〜 9:10分の利用となっている。書き込みにあったように、山頂小屋で一泊された後、 この小屋を通過されて鉢伏山に向かわれた様子を伺い知った。ここを9時だと、鉢 伏山は10時半過ぎ頃だったろうか。そんなことを思いながら、私も利用記録を書 く。こまくささんにならってNIFTY のID番号とハンドル名も併記しておく。 しばらくして今来た道の方から人の声が。こんな日に(しかも平日!)登ってくる 人がいるんだ、と感心しながら待っていると、犬を連れた中年のご夫婦が登ってこ られた。加古川から来られたという。今朝5時に家を出たとのことであった。一人 で心細い思いをしていたので、俄然勇気を得る。熊が出たらこの犬に犠牲になって もらおう。ろくでもないことを考えるのであった。(^^; *大平頭から氷ノ山山頂へ 先に行かれた夫婦と犬を追い越し、快調に歩く。いくつかのアップダウンを越える。 布滝頭(1264m) のピークを越えるには張られたロープを使う。それほどきつい勾配 なのである。この下は断崖になっており、布滝の沢詰めではルートファインディン グに苦労が予想される。マップによれば、氷ノ山越までのコースタイムは1時間半 となっている。半分くらい来たかなと思った途端、あっけなく氷ノ山越の大きな分 岐点に出る。大平頭避難小屋から45分程度である。アララ・・・ この分岐は古くから良く人が歩き、鳥取県側との交流のルートであった。古びた避 難小屋とお地蔵様がある。鳥取県側に下れば舂米、但馬側はあずきころがしを経て 福定に通じる。 ここから山頂へ到る道は最もオーソドックスなコースで、道も太く安心して歩ける。 15分ほど登ると、素晴らしいブナの原生林に到る。霧が流れるブナ林は幻想の世 界へ誘ってくれる。誰も居ない。霧にまかれる葉ずれの音と、鳥の声。至福の時間 を味わう。 氷ノ山越から40分程登ったところで、鳥取県舂米からのもう一本のルートである 仙谷への分岐点を通過する。昨秋、あきゆきさんが使われたコースである。ここの すぐ上に「こしき岩」と呼ばれる巨大な露出岩が有る。氷ノ山を鉢伏方面から眺め て、頂上直下に大きなコブが見えるのがこの岩である。巻き道があるが、今回はこ の岩を直登する。踏跡はしっかりついているが、中間地点でルートに迷った。踏跡 は左を巻いており、そちらに向かうと道が消えてしまう。下を見れば目も眩みそう な高さ、上には岩が覆い被さって私には登れそうもない。少し戻って、右の割れ目 にルートを取る。結構緊張しながら程なく岩の頂上に出る。ここからの眺めは素晴 らしい。今日はガスで殆ど見通せないが。それでも次第に晴れ間が現れ、気温も上 がってきた。 山頂方面で何やら団体の嬌声が聞こえている。どうやらオバハン連のようだ。こし き岩を後にし、最後の登りにかかる。おおっ! 20人は下らないおば様達の大軍 団が先を行く。頂上直下の急登で難渋している。男性メンバーのオッサンに声をか かける。大阪から来た山の会のメンバーという。福定からあずきころがしを登って 来たとのこと。オバチャンに、「一人なん? 遭難せんといてヤ」と声をかけられ る。一団を追い越し、本日最初のピークの人となる。氷ノ山越から50分。大平頭 から1時間35分の行程であった。 *氷ノ山山頂にて 太陽が薄日を射してきた。ガスも少し切れて、今登ってきた登山道や、二ノ丸あた が見通せる。だが遠望はできず、尾根には絶え間なくガスがぶつかっては上に舞い 上がっている。山頂避難小屋に入ってみる。ここは2階のフロアも使える。大平頭 に比べ、3倍以上のキャパがありそうである。ここでも利用ノートを探すが、見あ たらない。こまくささんのポエムを見たかったのになあ。下山後、管轄の関宮町役 場観光課に問い合わせたところ、ノートが一杯になったので村長が下に持って下り たところだと言う。新しいノートを早急に持って上がります、と恐縮されていた。 万が一の場合の手掛かりともなる大事な物なので、早く持って上がってくださいね。 村長さん。ご苦労さまです。 そうこうする内に例の団体が賑やかにやって来た。いきなり万歳する人、茂みに連 れ立って向かう人、ヒュッテの影でお化粧直しに余念のない人。それぞれの、氷ノ 山登頂の姿。やがてチーズとVサインが始まり、一段落するとお弁当だ。私もおな かがグーグー言っている。だが、今日は出掛けに水筒を忘れるという大失態をやら かした。水場の無いぶんまわし尾根を、こまくささんよろしく葉っぱの露とすずの こまるかじりでしのいできた。弁当食ったら喉が乾く。時間も未だ早い。おばさま に水を乞うのもしゃくだ。大平頭まで戻り、ホードー杉の沢で補給しよう。 それでも喉が乾くので、ちょっと下の古生沼まで行ってみる。ひょっとしたら飲め る水があるかも知れないし。古生沼に足を踏み入れた途端、巨大なイボガエルの夫 婦が日向ぼっこの真っ最中。私を見つけ、ノソノソと沼の中に消える。あたりの水 たまりを見ると、彼らの生殖活動の跡がビッシリ。全ての水たまりにカエルの卵塊 が浮遊しておる。これはチョット飲めんな。 頂上に引き返すと、ちょうど犬連れの夫婦が同じく古生沼に下りられようとしてい た。ポチや、熊に食われず良かったな。(^^; 11時ちょうど。来た道を下山開始。腹へったよ〜。喉かわいたよ〜。 *ホードー杉へ 大平頭避難小屋に戻ってきたのが、12時23分。山頂から1時間23分の行程。 再び利用ノートに記帳し、6月のオフで再び訪れることを楽しみに、小屋を後にす る。10分でホードー杉分岐。ここから右手のブナ林に入る。あまり人の来ない所 で、ブナ林も深くなる。ガスがたち込めている。こんな所で熊さんが来たら怖いな、 などと思いながら沢に降下する。やっとありつけた水。ステンのマグでグビグビ飲 む。旨い! 一息ついて、沢沿いに10分ほど下る。踏跡はあるが、沢に寸断され ており、知らない人は近づかない方が良さそうな場所である。迷う危険性大である。 沢からはホードー杉の頭が少し見えるくらいで、標識もなく分かりにくい場所にそ の巨大杉が立っている。沢の斜面をよじ登り、チシマザサが刈られている広場の前 に堂々と立っている。何百年という年月を、この場所でずっと生きてきた、森の生 き証人だ。屋久杉には及ばないものの、この杉を見て感動しない人は居まい。 杉の前で、少し遅れた昼飯にありつく。下の方で雷鳴がしている。やばいなあ。 食べ終わる前に雨が落ちてくる。トランギアで湯を沸かし、急いでコーヒを流し込 む。ザックを背負い、森の古老に一礼して帰途につく。 *エピローグ 時折小雨がパラつく中を、ハチ高原の尾根を行く。下の方はガスが晴れて、よく見 渡せる。振り返ると氷ノ山は相変わらず雲の中である。膝の後ろの筋が痛い。小代 越で一服。今日一日の山行を祝福してくれるかのように、ヒバリが目の前から大空 に舞い上がる。 階段を下りると、いるわいるわ。坊主頭とオキャンなジャージ軍団が。先生を先導 に山菜取りの大ローラ作戦の真っ最中。ウドがどうの、ゼンマイがどうの、キャー だのアーだの、かしましいこと甚だし。 駐車場にもどると、別の中学生一団が何と、円を組んで盆踊りだ! 先生が横で音 楽を鳴らして見ている。車のハッチに腰掛け、冷えたコークを飲みながら、しばら この場違いな盆踊りの練習を見学。おおっ! あっちは女子高生軍団だ! 今日一日の厳しい山歩きのこともそっちのけで、すっかりオッサンしてしまうCATHY であった。(^^; これにて関但すずのこオフ下見、氷ノ山登山のものすごく長い書き込みを終わらせ ていただきます。最後まで飽きもせずお読み頂いたみなさん、ありがとうございま した。オフに参加されようとなさっている方、てな訳でお約束果たしましたよ。 今日は平日なのに? 休みを取りましたがな。(^^; 94/05/18 採ってきたすずのこを焼いてさっそく肴にした(^^) ▲CATHY (PED02620)♪ ↑ページトップへ