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梅雨時の氷ノ山を歩く



大段ヶ平コース

珍しく妻の方から、早起きして山に行こうと誘いがあった。昨年末から半年あ
まり、子供たちのことで慌しく日々が過ぎた。おまけに山の雪が遅くまで残っ
て、すっかり例年の山行ペースが乱れたまま、季節は夏を迎えようとしていた。

そんなわけで、午後から雨の天気予報を気にしつつ、我が家の山行きとしては
画期的な8時過ぎに自宅スタート。1.5時間のドライブでいつもの大段ヶ平
駐車場着。1台先行車がいるだけ。スズノコのシーズンが終わって、ジジババ
の車も今はやってこない。

8時50分にスタート。バイオトイレのディーゼルエンジンが標高1000m
の山中に不似合なノイズを上げる。昨年11月、息子と3人で氷ノ山を登って
以来の山であるが、その時とまったく同じルートを今日は夫婦で歩く。駐車場
から見上げる山頂付近はガスに包まれており、高度を上げるにつれそのガスの
中へと入ってゆく。

尾根道ではガスが早く動いており、林床の笹藪のあちこちからソウシチョウの
声が近くに聞こえた。30分ちょっとで大屋町避難小屋着。ここで一息入れる。
途中の道端でスズノコ3本を収穫。持ち帰って、柔らかいところだけを茹でて
ビールのアテにしたが、とっても美味しかった。

神大ヒュッテまでのアプローチでヒミズの死体。大した花は咲いておらず、か
ろうじてギンリョウソウが目に付いたくらい。登山道脇の笹藪は、いたるとこ
ろで人が踏み入った跡が残り、少し前にはスズノコ採りで賑わった様子を思っ
た。大段ヶ平から1時間ちょっとで神大ヒュッテ分岐に出る。ヒュッテのデッ
キで東尾根からと思われる単独行の男性が休んでいた。水場からの引き水がパ
イプで外出ししてあり助かる。3年目のじぃちゃんツリーに家族の近況報告。

ここから上は雨粒が少しずつ大きくなってゆくが、歩行に影響するほどではな
い。古千本杉を過ぎ、古生沼を経て雨の氷ノ山山頂。大段ヶ平から1時間40
分とゆっくりペース。風雨を避けるのに山頂避難小屋は有難い。男女のパーテ
ィと先ほどの単独の男性、そして我々夫婦。パーティの女性は今風の山ガール
ファッションでお洒落。山も変わったものである。

愛妻オニギリと、いつものようにお湯を沸かしてカップラーメンをシェア。食
後のコーヒーも含めて、水は下で汲んできた「ぶなのしずく」である。山の水
はまろやかで美味い。デザートのスイーツも食べ終わると腰を上げる。その間
にも、小屋は人の出入りが続く。雨でも人気の氷ノ山である。

雨は次第に強まっている。カッパの上だけ着て来た道を下る。まだ土砂降りと
いう感じではなく、この程度の雨なら陽射しもなく呼吸も楽で、歩くには好都
合だ。足元にようやくユキザサを見つけてレンズを向ける。雨とガスの杉林は
屋久島のようだねと妻が言い、同意する。梅雨時の氷ノ山歩きは、なんちゃっ
て屋久島モードなのである。

神大ヒュッテ分岐を右に取りブナ林を下ってゆく。ブナに着生したイワガラミ。
尾根に入ったところで左の藪からソウシチョウが飛び出し、右の低い梢に止っ
た。肉眼でも姿を捉えることができるがガスでコントラストが弱い。レンズを
鳥用に交換するも間に合わず、奥の茂みに入ってしまった。ソウシチョウは古
千本杉周辺でも囀りを確認したが、氷ノ山のチシマザサ帯に広く分布している
ことを改めて実感した。特定外来種ではあるが、もう手の施しようのないレベ
ルまで野生化が進んでしまっている。

最後の5分くらいでいよいよ大降りになった。濡れ鼠で車に飛び込んで今期最
初の山歩きを終えた。林道を下り、「ぶなのしずく」で山水をお土産に持って
帰る。

※撮影:Nikon1V1+10mmx0.79

 【 登山日 】12年6月30日(土)
 【 目的地 】氷ノ山(1510m)
 【 山 域 】但馬
 【 コース 】大段ヶ平〜山頂ピストン
 【 天 候 】晴れ
 【メンバー】たじまもり夫婦
 【 マップ 】持たず(エアリアマップ「氷ノ山」参照)
 【 タイム 】大段ヶ平P8:50…大屋町避難小屋9:25…神大ヒュッテ9:55
       …氷ノ山山頂10:30-11:05…神大ヒュッテ11:40
       …大屋町避難小屋11:55…大段ヶ平P12:30