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愛宕山は標高100mの、山歩きというほどの山ではない。鶴城跡として市民 に親しまれている市街地を北東から俯瞰する展望所のようなものである。山頂 へのルートは何本かあって、麓には案内板も立っている。船町の登山口は駐車 スペースもあって利用しやすい。私はいつもここから歩くことにしている。 午後も半分過ぎ、今日は丹後半島の店まで買い物にゆく約束。その前にちょっ と愛宕山に寄ってギフチョウを見ようと妻たじまを誘った。登山口を入ってす ぐ、道端の植物の名前を彼女が教えてくれた。サルトリイバラだった。なかな か可愛い花をつける。スダジイの森が山頂近くまで続く斜面は、花崗岩質の乾 いた山肌。展望が開けた日当たりのよい場所にはコバノミツバツツジが美しく 咲き誇る。昨秋の大洪水が嘘のような、穏やかな円山川の春が見下ろせた。 どの登山口から入っても、鶴城跡までは15分ほどとお手軽。山頂を結ぶ尾根 道に入るとギフチョウが何回か飛んだ。山頂広場では妻たじまがワラビ摘みに 熱中。歳をとるにつれ山菜採りに夢中になってゆくみたいと、もくもくと作業 を続けている。私は祠の裏手を下り、次の小ピークまで進んだ。この先の急斜 面ではオオイワカガミが満開。この山では標高50mに満たない裾野にまでオ オイワカガミの分布が広がっている。アセビは盛りを過ぎた感じ。 なかなかやってこない妻たじまを携帯電話でコールする。来た道を引き返すも のだと思っていたらしい。いや、私も半分そのつもりだったけど、この先にあ る落葉樹林の鳥が私を誘っているのだ。彼女と合流し周回コースに入る。オオ ルリの囀りを聞きながら最初の東屋を通過。やがてキビタキ、サンショウクイ の声が森の中から聞こえてきた。 西に開いた弧の内側の斜面はR178豊岡トンネルのちょうど真上にあたる。 ここの明るい森が好きだ。林床はカタクリでも咲けば似合いそうな雰囲気だ。 周回歩きに乗り気でなかった妻たじまも、この森に魅了されていった。二つ目 の東屋を右に回り込んで北斜面を下る。このあたりから再びオオイワカガミの 群落が目につく。トキワイカリソウも沢山咲いている。一箇所で白花を見つけ たので写真に残す。 樹木も一斉に花をつけている。コバノミツバツツジに混じってウスギヨウラク がユニークな花をつけているのが目を引いた。白い小さなボンボンのような花 を密に咲かせているのはザイフリボク。シデザクラの別名で呼ばれるらしいが サクラとは縁遠い。 ザイフリボクを見上げながら休憩していると、妻たじまが突然斜面の下を指さ した。「あそこの枝にオオルリ! 2羽いる!」 縄張り争いのオスが2羽、 鉢合わせしたらしい。一羽はすぐに右の谷に消えてゆき、目線より下の枝に止 まったままのもう一羽を、400ミリのファインダーに入れた途端に飛ばれた。 「あ〜あ…」である。 一箇所大きく地滑りした場所を通過し、ジグザク道は竹林となって里に下りる。 「こんな近くにいい森があるね」と妻たじまが言った。麓の集落内を駐車地点 まで戻って約1時間の散策を終了。季節ごとにまた一緒に歩いてみようと思う。 【 登山日 】05年4月23日(土) 【 目的地 】愛宕山 【 山 域 】但馬 【 コース 】船町登山口〜金剛の道周回 【 天 候 】晴れ 【メンバー】妻たじま、たじまもり 【 マップ 】持たず 【 タイム 】船町登山口15時ごろから約1時間 ※ギフチョウを除く撮影はすべてNikon Coolpix5000+WC-E68 |