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いつもの路肩に車を置き歩き出す。オドリコソウ、カキドオシ、キランソウ、 ウマノアシガタなどにレンズを向けながら車道を行く。やがてヤエザクラが迎 えてくれるのも、春の阿瀬渓谷歩きの変わらぬプロローグだ。駐車場には4台 ばかりの車が入っている。花盛りのイチリンソウを見ながら東屋へ。沿道のサ クラの木が伐られて渓流の展望がよくなった。桜のあった風景も良かったのに と思う。 オオタチツボスミレ、八重のイチリンソウ、ヤマエンゴサクなどなど、春の花 が道中ずっと目を楽しませてくれる。単独の男性と一度すれ違った以外、人に 遭うことはない。夫婦で春の阿瀬渓谷歩きを楽しむ。沢音に混じってオオルリ、 ツツドリ、サンショウクイなどの夏鳥の歌声が聞こえる。ザゼンソウの花株が わずか残っていた。 不動尊を越えると、取水ダム下の水溜りに魚影を確認。下流は絶壁の不動滝だ から、彼らはこの狭い水域で子孫を繋いでいるのだ。クサソテツの群生地を通 る際、お昼用にいくつかコゴミを摘んでポケットに突っ込む。 道端の渓流に下りてちょっと遅いお昼にする。妻が握ったおむすびが美味しい。 年配夫婦のハイカーが声を掛けて下ってゆく。沸いたお湯でカップ味噌汁とミ ニラーメンをこしらえ、さきほどのコゴミを茹でる。マヨネーズを持ち忘れた ので、味噌汁とラーメンの具にする。コゴミの青臭さと少しのエグ味が春の味。 周りのキクザキイチゲとエンレイソウを撮ってから腰を上げる。 道に沿ってクサソテツ。ここのは太くてコゴミも美味しそう。少し摘んで晩の お土産にする。ショウジョウバカマ、オオイワカガミ、トキワイカリソウ。 この季節、花や木にレンズを向けるとキリがない。 廃村の土橋を先に渡った妻が花に目をやっている。ふと、獣がトコトコと道に 沿って下りてきた。気づかない妻に声を掛けてやると、その声でようやく人が いることに気づいたアナグマは、少し慌てたように戻って行った。スローでひょ うきんな森の生き物。 潰れた分校は屋根の形をまだ残している。やがてそれも無くなるだろう。昨年 の5月に一緒に歩いた冨山さんのお宅にお邪魔する。「なんにもないですが、 まあみなさん、あがってゆっくりしていってください」 冨山さんの笑顔を思 い出す。ワサビの季節にはまだ少し早かった。妻に村の水力発電の跡を案内し てから来た道を戻る。 登りは途中から鳥狙いの望遠レンズをつけた。下山時は撮り残した花たちにレ ンズを向ける。シグマの17-70マクロレンズは、これ1本で風景から接写まで こなすオールマイティ。まさに最高のレンズだと思う。ニリンソウはあえて蕾 を選ぶ。コチャルメルソウ、サンインネコノメ。 開けた場所で首のないヤマドリのメスが腹を割かれて転がっていた。少し時間 が経った死体だったが、おそらくクマタカの仕業だろう。なんらかの理由で捕 食を途中で放棄したような様子だった。 不動尊下のトチノキ林の急斜面、トチノキ越しの山の芽吹きの色が美しい。 トチノキの枝先で囀るオオルリを狙う。水場にやってきたミソサザイも雰囲気 よく撮ることができた。(トップ写真) カラン橋を過ぎた沢沿いで、低い枝にオオルリがいたが、レンズを向けるとす ぐに飛んでしまった。やがて車道まで戻る。妻の好きなアケビを撮って歩きだ すとルリタテハが飛んできた。付けたままの望遠レンズでヤエザクラを撮って みるが面白くない。妻はヤエザクラの写真を携帯で娘に送信していた。シャガ を撮って車に戻る。爽やかな春日和。春爛漫の阿瀬渓谷を夫婦で満喫した。 撮影:D2X+SIGMA17-70MACRO,VR300F2.8x1.4 【 登山日 】08年4月27日(日) 【 目的地 】阿瀬渓谷 【 山 域 】但馬 【 コース 】バンガロー入口路肩〜廃村ピストン 【 天 候 】晴れ 【メンバー】妻たじま、たじまもり 【 マップ 】持たず(エアリアマップ「氷ノ山」参照) 【 タイム 】P11:30…不動尊上12:55-13:30…廃村13:50-14:20…P16:15 |