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山が笑う、阿瀬渓谷



山が笑う

冬の間に手入れしておいた登山靴に足を入れる。きゅっと紐を絞れば、さて登
るかという気分になる。ゴールデンウィークが始まり、いつになく路肩駐車の
車も多い。たくさんの人が今日の阿瀬渓谷をそれそれに楽しんでいる。

歩き始めて目にとまったのはイチリンソウ。日当たりのよい路肩にカキドオシ。
奥の駐車場前のヤエザクラは満開の花を重そうにつけていた。ヒメレンゲの黄
色に目をやりながら、舗装道はやがて山道に変わる。

登りが続くと息が切れる。クジャクシダが綺麗に葉を広げている。倒れ岩を越
えた瀞場で一休み。腰を下ろしたところにムラサキサギゴケ。すぐに渓流釣り
の男性が上がってきた。釣果を聞けば、ビクを開けて10匹ほどの小ぶりのヤ
マメを見せてくれた。餌はイクラとブドウムシで、ブドウムシのほうが喰いが
いいとのこと。はて、釣りをしない私たちにはブドウムシが分からなかった。

カラン橋を過ぎれば渓流は右に変わる。湿地のコチャルメルソウは花期を終え
実をつけていた。ニリンソウがあちこちで目を楽しませてくれる。咲き始めの
ほんのりピンクの花弁が可愛い。エンレイソウヤマルリソウも盛りを過ぎ、
ミヤマカタバミも花を落としていた。

いくつかのパーティと遭遇。渓谷越しに望む山肌は萌黄色に輝く。この時期の
山の表情を「山が笑う」というそうだ。なかなかいい表現だと思った。
クサソテツの群生地。コゴミには遅すぎたが、広げた葉が光を透かして美しい。

1パーティが渓流沿いで昼食中。その少し上流で私たちもお昼にする。相変わ
らずのコンビニおにぎりとカップラーメンで簡単に済ます。腹が膨れたところ
でワサビを少し摘んで頂戴する。年一度の我が家の恒例行事、帰宅後、妻の作っ
たおひたしはツンと鼻によく効いた。

今日は廃村まで向かわずにここで引き返す。紫のスミレも終りに近く、白色の
ツボスミレが目についた。舗装道に戻ると、これから午後の散策という何組か
のパーティとすれ違った。シャガヤマブキオドリコソウにレンズを向けな
がらゆっくりと車に戻った。今年最初の夫婦での山歩き、登山靴を脱いで谷を
仰げば、山は相変わらず笑っているのだった。いい時間を二人で過ごした。

撮影:D2X+SIGMA17-70MACRO

 【 登山日 】07年4月29日(日)
 【 目的地 】阿瀬渓谷
 【 山 域 】但馬
 【 コース 】バンガロー入口路肩〜不動尊上ピストン
 【 天 候 】晴れのち曇り
 【メンバー】妻たじま、たじまもり
 【 マップ 】持たず(エアリアマップ「氷ノ山」参照)
 【 タイム 】P11:20…不動尊上12:30-13:05…P14:15