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森のめざめ、阿瀬渓谷



ミヤマカタバミとコチャルメルソウ
ミヤマカタバミとコチャルメルソウ

毎年、山歩きのスタートは阿瀬渓谷と決まったようなもの。春の山草、名残り
のザゼンソウ、そして我が家一食分の山菜を頂戴して帰るのが楽しみだ。春一
番の山歩きは私よりも妻たじまが積極的で、早朝の野鳥観察から戻るとオニギ
リや水筒の準備はすでに整っていた。

朝は晴れ間も少し出ていた空模様は下り坂。沿道のサクラはどこも満開で、今
年のサクラはいっぺんにドドっと咲いた感がある。いつもの路肩に車を止め、
出掛けの朝市で買い求めたイチゴと野菜を車の下に置いた。下のキャンプ場か
ら、家族グループの賑やかな声が聞こえていた。

カビた山靴で歩き始めれば、スミレの花とミソサザイの明るい歌声が迎えてく
れた。雪解け水を落す源太夫滝を見送り、思案橋から右ルートへ。ヤマルリソウキクザキイチゲが目を楽しませてくれる。カラン橋の欄干にはトラロープと
「触るな」の看板。少し触ってみると鉄パイプが腐ってグラグラで、いつ崩壊
してもおかしくない状態だった。この橋自体ももう架け替えないと危険な状況。

鬱蒼としていた植林は間伐されて気持ちよくなっていたし、登山路の案内板も
新しくなっていた。いつもの水場は枯れることなく地下水を滴らせていて、
ホクリクネコノメ、ミヤマカタバミ、コチャルメルソウが苔むした岩の上で静
かに咲いていた。

オオルリの囀りが聞こえた。どこで鳴いているのかは分からなかったが、今年
最初のオオルリを確認。エンレイソウを見送ると不動尊の急登。なまった体に、
ここで初めて喝を入れる。岩陰の残雪を越えると不動尊。歩き始めてちょうど
1時間だった。

不動尊から上は早春の佇まい。芽吹き初めたヤナギが渓流の音に揺れる。向か
いの山には残雪とタムシバの白。ザゼンソウもあちこちに残っていた。山菜に
は少し早すぎて、妻たじまの楽しみは先送りに。若いワサビを少しだけ摘んで
帰った。

咲いたばかりのショウジョウバカマの初々しい花を愛で、最後の橋を渡って廃
村へ。分校跡はまだ形は残っていて安堵したが、この校舎が完全に潰れてしま
うのも時間の問題。寂しくなるだろう。

ここでオニギリとカップ麺の昼食をとり、来た道を引き返す。時折小雨がパラ
パラと落ちてくるが下山まで本降りには至らなかった。途中、渓流釣りの人と
出会っただけで、二人だけの静かな山歩きだった。

 【 登山日 】04年4月3日(土)
 【 目的地 】阿瀬渓谷
 【 山 域 】但馬
 【 コース 】バンガロー入口路肩よりピストン
 【 天 候 】曇り一時小雨
 【メンバー】妻たじま、たじまもり
 【 マップ 】持たず(エアリアマップ「氷ノ山」参照)
 【 タイム 】P10:30…不動尊11:30…廃村12:15-40…P13:50