トップたじま川日記>このページ

君が生まれた川


上陸ポイントで記念撮影
上陸ポイントで記念撮影(萬屋さんに撮ってもらいました)

 マーク&マンディ一家がKoh!さんの家にやってきた。彼らはKoh!さんの家を
 設計した若き建築家である。今は米国テキサス州オースチンで暮らしている。
 娘ベロニカ、息子ラバールを連れて、一家そろってのサマーバケーション。

 実はベロニカにとって、今日は特別な日であった。マーク&マンディも今日
 の日を楽しみに待っていた。ベロニカの8歳の誕生日。8年前、彼女はこの
 地で生を受けた。ベロニカが母親に抱かれて見た初めての川風景の中に、こ
 れから漕ぎ出そうとしているのだった。

 ベリースペシャルなイベントにこそ、思いがけないトラブルは降りかかるも
 のだ。回送に向った運動公園手前の河原で、Koh!さんの車があえなくスタッ
 ク。空回りするタイヤの焼ける臭いが、真夏の熱気をかき回す。しばらく試
 行錯誤があって、後ろに付いていたみゅうさんの車で牽引することに。カヌー
 固定用のストラップで一番長いやつを4つ折りにし、牽引ロープの代わりに
 する。ようやく脱出に成功し、手前の草むらにKoh!さんの車を置いたときに
 は、出艇予定時刻をとうに過ぎていた。
マーク&マンディ一家
マーク&マンディ一家
賑やかなマーク艇
賑やかなマーク艇
 待ちわびていたマーク&マンディファミリーと漕ぎ出したのが13時15分。  今まで、これだけ出発準備に時間が掛かったことはなかった。新記録だ。暑  い真夏の午後、川の上は涼しい風が吹いている。ひさしぶりに一緒に漕ぐみゅ  うさんの、少し緊張した風な、背筋をピンと伸ばした前傾姿勢が凛々しい。  被っている白い帽子が、彼の家業のユニフォームというのがオシャレである。  マークの漕ぐキィウィ2ではベロニカとラバールが無邪気に騒いでいる。と  きおり艇から飛び込んでは泳ぎ回っている。私はと言えば、痛む左肩をかばっ  てキィウィ2のバウシートに鎮座している。後ろで息子たじま/YUUが立派に  船頭の仕事を果たしてくれている。楽賃、楽賃。  ヤマセミが飛んだ。左岸の溶岩の河畔にそって、しばらくヤマセミと一緒に  漕ぐことになる。ヤマセミがハタハタと飛んだ後で、川面を一直線にカワセ  ミが飛ぶ。おお、ヤマセミとカワセミの華麗なる競演。こんな贅沢なバード  ウォッチングはカヌーならではのものだ。  鶴岡橋手前の河原で、遅いランチタイムとなる。焚き火を燃やし、定番のキ  スを焼くことも忘れない。男達が準備にいそしむ間、マンディと子供達は泳  ぎを楽しんでいる。子供達のはしゃぐ声が川面を渡る。いい風景だなと思っ  た。英語と日本語のチャンポンで会話を楽しみながら、暑い午後の時間がゆっ  くり過ぎて行く。みゅうさんが別の約束のために一足先に出発した。
鶴岡橋手前のランチタイム
鶴岡橋手前のランチタイム
左岸に萬屋氏登場
左岸に萬屋氏登場
 ここからは、息子たじまとKoh!さんが入れ替わった。後ろのシートでKoh!さ  んが力強くパドルを回してくれる。Koh!さんと一緒にキィウィ2に乗るのは、  これが初めての経験だった。マークの艇から移ってきた5歳のラバールとの  英会話が面白い。「おっちゃんは英語が上手だね」とラバールに言われて、  その気になって喋る。私の英会話能力は、5歳のネイティブ相手がちょうど  のようだ。ラバールはしきりに"Can I jump in?"を繰り返す。川に飛び込ん  でよいかと聞くのだ。そのたびに、Koh!さんがもうちょっと先に行ってから  となだめる。  上郷橋を過ぎ、しばらく進んだところで左岸の河原に仲間の姿を発見。本日  のツーリングに参加できなかった萬屋さんが、用事を済ませて現れたのだっ  た。一緒に下れなかったことをしきりに残念がっていた。ゴール地点での再  会を約束して別れる。右岸に、昨年から工事をしていた護岸堤防が出来てい  て、お気に入りの風景を殺風景なものに変えていた。「どうしてかなあ」と、  Koh!さんと呟きあうのであった。
トーネードを漕ぐ息子たじま
トーネードを漕ぐ息子たじま
Can I jump in?のラバールをなだめる
Can I jump in?のラバールをなだめる
 ゴールの河原には萬屋さんが居て、我々の到着を迎えてくれた。艇を上げて  からも、子供達は川に入って遊び続けた。向かいの左岸ではテトラを積む工  事が進んでいる。5時のサイレンでちょうど作業が終ったところだと、萬屋  さんが教えてくれた。護岸工事のコンクリートブロックと、その前ではしゃ  ぐ子供達の姿が対照的に映る。シャツを脱いで、私も子供達と一緒に川に入っ  た。  すっかり傾いた太陽が堤防の向こうに消えようとしていた。今日8歳になっ  たベロニカの誕生プレゼントは、円山川での楽しい思い出。君の両親のすば  らしいプレゼントを、覚えていてくれるといいな。  【 行動日 】2000年7月20日(木)「海の日」  【 河 川 】円山川  【 流 域 】兵庫県北部  【 コース 】すのーべる淵(江原)〜 運動公園(豊岡)  【漕行距離】約6.5Km  【 天 候 】晴れ  【メンバー】マーク & ベロニカ & ラバール on Keowee2, マンディ on T-slalom, Koh! on Tornade, みゅう on RockIt, たじまもり & 息子たじま/YUU on Keowee2  【 タイム 】すのーべる淵13:15…鶴岡橋手前13:50-15:10…運動公園17:10  【 川情報 】・土居堰堤右、上郷橋下で鮎漁の人あり。        ・水量少ない